【映画】溺れるナイフ
一生ぶん、恋をした。
あらすじ
15歳の夏。東京から遠く離れた浮雲町に越してきた、人気モデルの望月夏芽。
退屈でウンザリするようなこの町で、夏芽は体を貫くような“閃光”と出会ってしまう。それは、コウと呼ばれる少年・長谷川航一朗だった。
傲慢なほどに激しく自由なコウに、反発しながらも、どうしようもなく惹かれてゆく夏芽。コウもまた、夏芽の美しさに対等な力を感じ、やがてふたりは付き合いはじめる。「一緒にいれば無敵!」という予感に満たされるふたり。しかし浮雲の夏祭りの夜、全てを変える事件が起きるのだった―。
失われた全能感、途切れてしまった絆。
傷ついたふたりは、再び輝きを取り戻すことができるのか。未来への一歩を踏み出すために、いま、ふたりがくだす決断とは―。
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予告
キャスト
望月夏芽(小松菜奈)
長谷川航一朗〔コウ〕(菅田将暉)
大友勝利(重岡大毅)
松永カナ(上白石萌音)
望月芽衣子(市川実和子)
望月鉄男(ミッキー・カーチス)
広能晶吾(志磨遼平)
望月直樹(斉藤陽一郎)
蓮目匠(嶺豪一)
望月竜太(伊藤歩夢)
長谷川航司郎(堀内正美)
感想
原作は少女漫画で本屋さんで並んでるのは見た事あるものの、読んだことは無い作品でした。
ただただ魅入ってしまう映画です。
でもこれは好き嫌いがわかれるだろうなって言う映画でもあります。
ストーリーが進むのが遅く、うじうじしてるように感じる主人公たちにモヤモヤする人もいるんだろうなあと。
私は映像がただただすきでした。キャスト陣が流行りの俳優陣というのもありますが、みんな綺麗なんですよね。ひとつひとつが様になるなーって思いながら見てました。
個人的にはカナが高校生になって垢抜けすぎてビックリしました。もう少しカナを登場させて欲しかったです。最後に巻き込まれてしまっただけのように感じられるのが少し残念です。夏芽も小松菜奈がアンニュイな美人すぎて夏芽としては違和感があるのですよね。ワガママを言うようなシーンでは、違和感が少しあります。しかし高校生になってからのシーンはほんとに大人に成長したように感じられるので夏芽という小松菜奈を受け入れやすくなります。
少女漫画が原作となってるだけあって、結構無理やりな設定が多い気もしました。あと方言。岡山弁のような広島弁のような。岡山在住の私からしたら、あんなに語尾に「じゃ。」ってつかないってなります。しかもあんな若い子達に。東京生まれとのさを出したかったのだとは思うのですが。
あと挿入歌が謎でした。歌詞は繋がりはあるとは思うものの、その曲調??みたいな感じになる人は多いと思います。
この映画のいいところは映像美と勝利のカッコ良さや演技力な気がします。邦画のゆっくりした時間の流れに耐えられる人には面白い作品だと思います。
ストーリーネタバレ
望月夏芽は東京でモデルとして活躍していたが父親の実家の旅館を継ぐ都合で浮雲町に越してきました。
夏芽は父親と母親、弟の竜太と越してきたものの、東京と違って田舎である浮雲町を良くは思っていませんでした。歓迎の宴会から抜け出し街を散歩していると赤い鳥居から透き通るような金髪の少年が海の中から現れました。そこは神様のいるところだから近寄っては行けないと言われていた夏芽は驚きました。
翌日新しい学校へ行くものの夏芽は注目の的でした。夏芽はモデルとしても有名だったためみんな夏芽に興味津々でした。教室の片隅には夏芽に興味無さそうに外を見ている金髪の少年がいました。彼は長谷川航一郎といいみんなからは「コウ」と呼ばれていました。
赤い鳥居は街からはとても大切にされており、夏芽も入ったら行けないとクラスメイトである松永カナに教えてもらいます。その横でコウの友達である大友勝利も頷いていました。
夏芽はまた鳥居のある海岸に行くとコウが海辺に寝そべっていました。夏芽は神様を信じないんでしょとコウにいいますが「神様は在る」と平然と返答してきました。夏芽は海が「綺麗」と感嘆していると、コウが夏芽をつかみ共に海へ落ちました。
コウは笑いながら「俺はええんじゃ。海も山も川も好きに遊んでええんじゃ。この町のもんは全部俺のすきにしてええんじゃ」と言います。コウは浮雲町を支配している長谷川家の息子でした。学校も好きな時に来たり来なかったりの日々でした。
夏芽の元へ東京から連絡が入ります。写真家で有名な広能昌吾が夏芽の写真集を作りたいという話でした。夏芽はその話を受け写真集を出すことになりました。「モデルを干された」と意地悪を言ったコウを見返してやろうという気持ちもありました。
広能は浮雲町にやって来て夏芽を見ながら「君はカメラの前でしか息が出来ないんだね」というのでした。山のなかで撮影が始まるとコウが現れ石をぶつけてきます。そのまま立ち去るコウを夏芽は追いかけます。追いつけず横たわる夏芽を広能は気にせず撮ります。広能は夏芽はコウのものなんでしょと平然と言いました。浮雲町のものはコウのもの。夏芽もこうのものでした。
カナもコウと夏芽の仲を応援してくれているようでした。コウと夏芽の距離は近づきキスまでしました。
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写真集が話題になり、映画の話が舞い込みます。夏芽はコウに自慢します。そしてそばにいて欲しいと言ってもらおうとしますが、コウはつまらんと言うだけでした。自分の意思がある夏芽が魅力的なのでした。コウと夏芽は共に持っていた数珠を交換します。お互いを守れるようにと。
浮雲町で「火祭り」という祭りが開催されます。それを見に都会から蓮目という男性が夏芽の旅館に泊まりに来ます。火祭り当日は夏芽は参加できません。女人禁制の祭りのためコウのことを見守ることにしました。浴衣を着つけてもらい、コウとデートします。強引で振り回されますが、それすらも気にならないくらい夏芽もコウを振り回します。
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火祭りが始まると泊まってる蓮目が祖父が倒れたと言い無理やり夏目を連れていきます。するとコウの数珠がちぎれ嫌な予感がします。その場にいたカナに聞くと男性に連れていかれたと言います。
祖父は元気に犬を探しており、蓮目が夏芽を連れ去ったのだと分かります。蓮目は写真集をみたただのストーカーでした。夏芽は襲われかけますがコウが助けに来てくれ、最悪の事態は免れます。蓮目は警察に連れていかれます。しかしネットには夏芽のことがかかれ、噂は広がりました。
高校生になった夏芽は周りとは馴染めずにいました。周りが派手な格好をするなか、1人地味な格好をし地味に生きていました。クラスでもどこでもレイプされたという噂が飛びまわり陰口の的になっていました。勝利やカナは夏芽のことを気にかけていましたが、カナは新しい友達が出来オシャレを知り垢抜けていきました。
勝利は孤立した夏芽を気にかけてくれていました。勝利からコウが高校に入ってから悪い人とつるむようになったと聞きます。喧嘩に明け暮れているとききますが、コウと夏芽は既に別れていました。勝利とともに帰ってるとバイクに乗ったコウとすれ違いますが何も言えませんでした
コウが気になった夏芽は港に行き「私ずっと待ってたんだよ」と言いますが気にもとめずコウは笑います。ボートで沖にでますが夏芽はコウを責めます。「どうしてあの日やっつけてくれなかったの」と問いますがコウは「俺たちは幻想を見合ってたんじゃの。」と笑います。「あの手で私の喉に触ったでしょ」と言いながら夏芽はコウを海へ突き落とします。
2人で海面に顔を出すと「不細工な顔」とコウは笑います。「おれは痛々しゅうて、お前の顔みとれんわ」というと夏芽は「もっと綺麗に生きていきたかった」と言います。「お前の人生に巻き込まれるのはゴメンじゃ」とコウは夏芽を突き放しました。
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夏芽がずぶ濡れで帰ると勝利と弟が遊んでいました。勝利は夏芽を連れ出し他愛のない会話をしてくれました。風邪をひいた夏芽を勝利は見舞いに来てくれます。「おれが笑わせちゃるけ。何でもしてやりたいんじゃ」といい、2人は交際を始めます。
夏芽の元へ広能が撮る映画の話が舞い込みます。その脚本にはレイプシーンがあり夏芽は断りますが高校まで口説きに広能がやって来ましたが夏目を見て「撮る気がなくなった」といいます。「君とだったらもっと遠くまで行けると思ったんだけどね」と言い残し去っていきました。
悔しくてなく夏芽はコウと会った海へ向かいます。喧嘩をしボロボロになったコウがやってきます。介抱しながら
「自分をすりへらすような真似しないでよ。こうちゃんだけでもキラキラしたまま生きていて欲しいの」と言ってしまいます。
「お前の言う輝かしいこうちゃんは死んどるんじゃ。」
「じゃあ私たちあいつの呪いにかかったまんまなんだね!!心中したんだね。一緒にダメになっちゃったんだね。ねぇ、海も山もこうちゃんのものだよ。そういうふうに触ってよ」
コウは夏芽に唾を吐きかけたあと、キスをします。2人は体を重ね合います。
「こうちゃん、2人で浮雲から逃げちゃおっか。」と夏芽はいいますが「会うのが最後じゃ。俺のことなんか追い越してくれや。おれは神さんと生きていく。遠くに行けるのがお前の力じゃ。お前に何もしてやれんのじゃ。もう姿見せんでくれ」といわれ夏芽は帰宅します
夏芽は映画に出る決心をし勝利に別れを告げます。しかし勝利はコウが関係していると気が付きます。「俺じゃダメなんか?」と聞かれても「嫌いになって」といいますが、「大好きじゃ」と真っ直ぐに勝利は言ってくれます。泣き出した夏芽に「笑ってよ」といい「俺ら東京さ行ぐだ」をカラオケを歌ってくれます。泣いていた夏芽も笑ってしまいます。最後にはふたり笑顔で「友達じゃ」と言い合います。
最後に火祭りをみて夏芽は旅立とうとしますが、一年前に夏芽を襲った蓮目が再び夏芽に襲いかかります。抵抗し、コウに助けを求める夏芽は誰かの声がし蓮目が居なくなったところで気を失います。目が覚めると先程までの出来事が夢のように感じます。火祭りは通常通り行われていました。しかし夏芽は思い出します。
コウが助けてくれたこと、殺そうとしたところでカナが止めること、しかし気を失ってる夏芽の目の前で蓮目は自殺しました。カナは気がついた夏芽に「明日全部沈めるけぇ、もうこうちゃんには近寄らんで」といいます。
夏芽はそれから東京へ行き女優として活躍します。広能から「呼吸できてるね」といわれ微笑みます。夏芽のなかにはずっとコウがい続けました。
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考察解説
この映画の私なりの解釈の垂れ流しです。
2人にとって神さんとは何だったのか
神さん=神様なのですが、ラストで2人が叫びあったり、と色々出てくるのワード。
浮雲町にとっての神様は海の側に立つ鳥居。海の守り神的な存在だと思います。だからこそ、神様のいる神聖な海を汚すと海が荒れるとなるのです。
その神様に奉納するのが火祭りなのだとおもいます。その重要な役目にいたのは長谷川家の息子であるコウです。浮雲町になくてはならない存在は神様ですが、それを祀っていくには長谷川家が必要です。
街にとっては神様の遣い≒コウ(長谷川家)なのですが、夏芽にとってはコウ自信が夏芽だけの神様のように思えているのではないかと。自由に我が物顔で過ごすことが許されているコウを見て余計にその思想が強くなったのだと思います
だから神様であるコウに全てを捧げても良いと思っていたけれど事件が起きて、コウは夏芽にとっては神様ではなくなった。神様は人々(夏芽)を守るべき存在だったはずなのに現実は何もすることが出来ない少年少女だった。しかし恋心は消えずその葛藤にあったのではないでしょうか
コウ自身は神様でないことをきちんと分かっていたからこそ「俺たちは幻想を見合ってたんじゃの。」という言葉に繋がったのではないでしょうか。
ラストは蓮目を殺したのか
殺したと言うよりは蓮目の自殺ですよね。しかし夏芽が目覚めた時には全てが終わっており、走馬灯のように流れるだけです。
実際蓮目というストーカーが死んだからこそ、カナはナイフを隠し持って海に捨てたのだろうし、多分遺体も隠したのだと思います。そして次の日に全て海へ流してなかったことにしたのだと思います。
蓮目は夏芽に芸能界復帰をさせるつもりはなく「十字架」として夏芽に覆い被さるつもりでした。
カナがコウに近づかないでと言ったのは夏芽を疫病神のように思っているからです。夏芽さえいなければ、そんなことは起きず浮雲町もずっと平和だったのにと。だからもう何も乱さないでという気持ちもあったのだと思います
2人が結ばれなかったわけ
夏芽は東京へ行き、コウは浮雲町へ残ります。それが彼らに課せられた呪いなのだと思います。
夏芽は生まれ持ってのカメラの前でしか生きられない少女です。それが夏芽にとっての呪い。
コウ自信も長谷川家の息子として浮雲町てま代々守っていかなければならない神様や火祭りが呪い。
2人が結ばれるというのは到底無理だったのですが、二人の関係が交差してしまったため、恋に落ちたのですが、呪いは溶けるものではなくタイムリミットがある恋愛でした。
呪いによって結ばれなかったものの、2人はお互いに神さんという繋がりがあるから大丈夫だよねというオチなのだと思います。
まとめ
俳優陣が本当に素晴らしいです。
大友くんが激推しです。それくらいあの映画の中では平凡な少年ですが。
映像美やラストの火祭りのシーンでは息を飲みます。
少年少女のほろ苦い青春映画です。
たくさんの考察ができる映画でもあると思っています。たくさんの秘められた謎を読み解きたいとおもえてきます。
邦画の恋愛が好きな方にはおすすめ作品です