【映画 】来る
映画 来る より
あらすじ
恋人の香奈との結婚式を終え、幸せな新婚生活を送る田原秀樹の会社に謎の来訪者が現れ、取り次いだ後輩に「知紗さんの件で」との伝言を残していく。知紗とは妊娠した香奈が名づけたばかりの娘の名前で、来訪者がその名を知っていたことに、秀樹は戦慄を覚える。そして来訪者が誰かわからぬまま、取り次いだ後輩が謎の死を遂げる。それから2年、秀樹の周囲で不可解な出来事が次々と起こり、不安になった秀樹は知人から強い霊感を持つ真琴を紹介してもらう。得体の知れぬ強大な力を感じた真琴は、迫り来る謎の存在にカタをつけるため、国内一の霊媒師で真琴の姉・琴子をはじめ、全国から猛者たちを次々と召集するが……。
予告
キャスト
監督 中島哲也
出演者 岡田准一 黒木華 小松菜奈 青木崇高 柴田理恵 太賀 志田愛珠 蜷川みほ 伊集院光 石田えり 松たか子 妻夫木聡
感想【ネタバレなし】
映画自体はすごい面白かったです!
簡単なあらすじは、小さい頃から言われてた「××」。悪いことをしていたら、こいつが来て攫っていくそうです。
大人になった主人公の元へ××が尋ねてきた。
なんと自分の娘を攫っていくそうだから、それを霊能力者と協力して防がなきゃ!
って感じなのですが、物語自体はすごい作りこんであります。
ちゃんと幽霊も出てくるので、ホラーというジャンルで間違いないのかな??
でもジャパニーズホラーとはちょっと違うかなあって雰囲気です。
後半の除霊のシーンの盛り上がりは見ていてドキドキしてきます!
いい意味で中島監督!って感じです。
個人的には人間ドラマの部分もしっかりしてるのでホラーよりサスペンスよりかなぁと。
意外な裏がどんどん登場人物に出てきます。
ホラー慣れしてなくて、中島監督の作品好きな人は是非ともみてください!楽しめます。
感想【微ネタバレ】
この作品はいい意味で監督らしさが出てる映画ですけど、怖いかと言われたらそんなに…ってホラー好きなら答えます。
予告でも頑なに名前を言わなかったアイツ。原作はもろ名前出てますね。
ぼぎわんは、人の恐怖に巣食います。人の見えない恐怖によって❛来る❜。人の声を真似てその人にとりつきます。
ぼぎわんは、何なのかは劇場に足を運んで自分の目で確認してください(笑)
この映画人間ドラマ部分を濃く描いています。なので主人公達の生活がとてもわかりやすく映画では描かれてます。
なのでホラーと言うよりほんとヒューマンドラマってかんじです。
普通に面白いのでぜひ皆さんには見ていただきたいです。
あまり言うとネタバレになるし、この作品は前情報なしで見ていただきたいです。
原作 ぼぎわんが来る。【ネタバレ考察】
映画が終わってすぐ小説を買いに走りまして、読み込みましたね(笑)ここからは映画でなく小説を踏まえての考察です
小説を読んでぼぎわんはぼぎわんによって攫われた子供でした。ぼぎわんは人間から子供をさらってその子をぼぎわんにしていくのです。
だから最後知紗はさいごにぼぎわんになりかけで野崎のところに来て、本体?の邪魔をさせないようにしたんだと思います。
そもそも「ぼぎわん」とは何なのか?
これまでの調査で得た知識を統合し、野崎はある仮説を立ててました。
ぼぎわん伝承の地である三重県K地方、ここではかつて口減らしが行われていたのではないか?不作が続く不毛な土地に対して、人口は多かった。
村全体を守るために老人や子供が犠牲になっていたとしてもおかしくはない。
ただ、問題はその手段だ。
おそらくK地方の人々は、老人や子供を山の妖怪に差し出すことによって、口減らしを実行していた。
人口を減らしたい村と人間を喰う妖怪の共存関係。
K地方には「こだから山」と呼ばれる山がある。
おそらくそれは人間にとっての子孫繁栄を意味していたのではないのだろう。
『山の妖怪に差し出された我が子が、せめて山で幸せに暮らしていますように』
そう願わざるを得なかった親たちの無念の思いが「こだから山」の語源なのだ。
と原作にあります。作中において、ぼぎわんの正体は「問いかけに答えたものをお山に連れていく妖怪」であると同時に「人間から子供を奪い、自分の子供にする妖怪」だとされています。だからこそ、子供である知紗が狙われたというのもありますが、秀樹の子供だからというのもあります。
秀樹の祖父は自分の妻と子供たちに激しいDVをしていました。それによって直接的でも間接的でも亡くなった人がいました。
秀樹の祖父は自分の妻から激しく恨まれており、恨みに恨んだ結果、ぼぎわんを呼び寄せる御札を使われたのです。結果としてそれは孫である秀樹に憑き、秀樹が死んだからその子供である知紗にぼぎわんは向かったと言えます。祖父母から始まった恨みが再び現代に向いたって感じでしょうか。
親の因果が子に巡るの典型例ですね。
でも映画ではこの部分はカットされています
ちなみに香奈の設定も全然違いますね。原作では死んでないし。
そもそもこの話はハッピーエンドなのか
それは読者に任せられている雰囲気です。
最後に知沙は「…んああ…さお…い…さ、むあ…んん…ち、が…り」と寝言を言って終わります。小説では楽しい夢でも見ているのだろうと終わりますが、この寝言小説を読んでる人にはピンと来ます。
ぼぎわんが何度も何度も口にしていた言葉なんです。
つまりぼぎわんはまだ知沙の中にいると言うことを書いてあるのです。
まだまだ終わってないよというアピールなんでしょうね。
最後の知沙の言葉の意味をわからなかった人はハッピーエンドだと思い、わかった人達がこれからを想像して戦慄するってオチです。
映画ではおむライスの夢を見てることになっていましたね、
面白かったので残りの小説も買ってみようかと考え中です。
映画と原作のぼきわん
だいぶぼきわん自体の設定が違うように思えます。
原作では先程も書いたように、
人間から子供を奪い、自分の子供にする妖怪
映画ではどちらかというと、
虐待されてる子供を親を殺し痛みから助ける妖怪
って感じでしたね。
ぼきわんはどちらかと言えば「概念」に近い存在なのかもしれません。たくさんの思いが連なりできた存在。それが今まで消されることがなかったからこそ、あんなに凶悪に強大になったのでしょう。
だから、映画では除霊できたように思えましたが、再び形成されるものなのではないかと思えました。
オムライスの意味とは
作品のラストは原作ではまだ終わってないことを遠回しに伝えてます。映画ではオムライスの夢です。
オムライスってどういう意味があるんでしょうね。
私はオムライス=家族団欒、親が子を思って作るもの。愛情の現れ。のイメージです。つまり知沙はまだ家族団欒を夢で見ているのです。しかし、知沙には家族団欒はいい思い出がありません。自分を疎ましく思う母親と自己中心的な父親。
これは知沙はまだ痛みから何も解放されていないと言うことなのかもしれませんね。
なので呼ぼうと思えばいつでも知沙はぼきわんを呼べるのでしょう
まとめ
中島監督らしい映画でホラー好きは物足りなさを感じはするものの、ストーリ的には面白いので満足できると思います。
バンバン幽霊が出てって感じですが、そこまで呪怨のような怖さはありません。
霊能力対決の時はなぜだかこっちまでワクワクしちゃいます。もっと個々の部分を見たいなとおもっちゃいます。
冬に珍しいホラー映画。
ぜひ皆さんも見て見て欲しい作品です