【映画】ゲット・アウト
何かがおかしい
あらすじ
ニューヨークで写真家として活動している黒人のクリス(ダニエル・カルーヤ)は、週末に恋人の白人女性ローズ(アリソン・ウィリアムズ)の実家に招かれる。歓待を受けるが、黒人の使用人がいることに違和感を覚え、さらに庭を走り去る管理人や窓に映った自分を凝視する家政婦に驚かされる。翌日、パーティーに出席した彼は白人ばかりの中で一人の黒人を見つける。古風な格好をした彼を撮影すると、相手は鼻血を出しながら、すさまじい勢いでクリスに詰め寄り……。
予告
感想
サスペンスホラーで話題になった作品です。ずっと気になっててやっと見れましたけど想像の遥か上を進み続ける展開に終始どきどきしっぱなしでした。
主人公もかんじとる猛烈な違和感を私たちにも感じ取れるんです。不信感を持ったらずっと不信感なんです。
最初はローズ一家の目的が想像出来ないんですよね。実は黒人差別主義でリンチ?監禁?とかしか思いつかないんですよね。
猛烈な違和感とともに進んでいきます。そして最後のネタばらしでも違和感があり続け、雇われていた黒人が実は既に脳移植を受けたふたりだったと。
猛烈な違和感や不快感って見てる側からも感じ取れるようにしたのは本当にすごいと思います。そして伏線や散りばめられたものの多さにびっくりします。
そしてタイトルのゲットアウト【出ていけ】と言うのは身体から出ていけという意味なのかこの家は危険だから出ていけなのかと考えたら止まりません
不気味さを見たい方にはおすすめ作品です
ストーリーネタバレ
ニューヨークで1人の黒人男性が歩いていると何者かに連れ去られていきました。
26歳のカメラマンの仕事をしているアフリカ系アメリカ人で黒人男性であるクリス・ワシントンは、恋人のローズ・アーミテージ斗の中も順調でした。週末にローズの家に挨拶に来ないかと誘われます。クリスは自分が黒人であるかちゃんと伝えてるか聞きますが、ローズのは「そんなの必要ある?」と自信ありげでした。
確かに差別は昔のものとなっていますが確かに現在も差別があるのも確かでした。ローズは「オバマ大統領がもう1期するなら喜んで投票すると言ってたわ」と言い、黒人差別主義ではないことをクリスにアピールするのでした
週末になり彼女と出発する際、クリスは友達であるロッドに電話をします。ロッドはクリスの愛犬を預かってくれており、「白人の彼女の実家なんて行くもんじゃない」と冗談交じりにアドバイスをくれます。そんなロッドも黒人男性でした
山の中をローズの運転で走っていると動物が横切り跳ねてしまいます。動物管理局に電話し動物の死体について聞くと、警察官がやってきました。2人に免許証の提示を求めますが、ローズは「その必要は無い」といいクリスの免許証は出させませんでした
ローズの実家は山奥でしたがとても広く豪華でした。父親は脳神経外科医のディーンと母は精神科医でミッシーと言いました。両親は2人をとても歓迎してくれました。屋敷には黒人の庭師ウォルターと家政婦のジョージナもいました。
遅れて弟の医大生のジェレミーもやってきてクリスはローズ一家に大歓迎されました。お茶をしながら異様に差別主義ではないという感じの会話ばかりが続きます。クリスは自分のことを気にしてくれてるんだと思いたかったのですが、人種差別否定の話ばかりでどこか違和感を感じていました
父親は「こんな話をしつつも、雇ってるのは黒人だから実は差別主義じゃないかと思ってるんじゃないか?」といいます。使用人達は祖父の代からおり、良くしてくれたからこそ、解雇せずにいるのだと言いました。
普段タバコを吸うクリスはタバコが吸えず少しイライラしていました。それを見た父親は精神科医のミッシーの催眠術を受けてみればいいと言います。よく効くぞと笑顔で勧めてきますが、クリスは断るのでした。
ローズは今週まつにはちょっとしたパーティがあるといいます。祖父の代から行っているのと言っていました。
ディナーを食べながら昔話をしてクリスを楽しませてくれます。クリス自身はどんなことをしていたのかと聞かれ、バスケや柔道をしていたというと、弟のジェレミーは勝負しようと持ちかけますがローズが注意したため何も怒りませんでした。
ローズは寝室で週末のパーティが憂鬱だと弱音をクリスに吐きます。ローズを慰めたあと外へタバコを吸いにクリスは出ました。すると庭師ウォルターがクリスに全速力で走ってきたとおもいきや直角に曲がりそのままどこかへいきます。言い知れぬ不気味さに部屋に戻ろうとすると、窓から家政婦のジョージナが真っ直ぐに外を見つめていました
寝室に戻ろうとすると部屋から声をかけられます。母親のミッシーが紅茶を飲みながら話しかけてきました。ミッシーはクリスの過去について聞いてきます。クリスは父親とは疎遠でした。
ミッシーは母親について聞いてきます。クリスは誘導されるままに語り始めました。雨の日、家で母親を待っていたが帰ってこなかった。轢き逃げにあい亡くなっているのが発見されたと。しかし即死ではなかったと。あのとき母親を探していればまだ母親は生きていたかもしれなと自責の念にかられていました。ミッシーの催眠術でした。途中で催眠術にかかっていると思ったものの抜け出すことが出来ず、深い闇に落ちていく感覚がしました。ミッシーの「そこが沈んだ地よ」というこえだけ聞こえてきました
翌日起きると昨日の出来事は夢だったんじゃないかと思ってしまいます。携帯を見るとロッドから愛犬の写真が送られてきていました。そのまま森の撮影をしているの庭師ウォルターに出会います。冗談交じりにクリスは「こき使われてるのか?」といいますが、ウォルターは「嫌な仕事はさせられていない」というのでした。昨日のことを尋ねると運動をしていただけと言われ逆に「奥様の部屋にずっと居たろ」と言われ、夢ではなかったことに気がつきます。そしてタバコを吸いたいと思わなくなっていました
週末になるとたくさんの黒い車とともにお金持ちの白人達があつまります。みんな異様に黒人を褒めるのです。どこか気味の悪い感じで過ごしていましたがその中に1人だけ若い黒人男性を見つけます。どこか昔を感じさせる服装をした彼は30は年の離れている白人女性と親しげに過ごしています
クリスはどこかで会ったことある気がしてなりませんが、誰だか思い出せません。その彼はローガンといい立ち振る舞いがどこか白人を思い出させます。そう言えばジョージナもウォルターも白人っぽい仕草をするのです。ローガンに拳で挨拶しようとしますがローガンはクリスが何をしたいのかわかっていないようでした。黒人ならみんなこの挨拶をしてくれるのにと猛烈な違和感を感じクリスは屋敷に1人戻りました。
屋敷には美術商がおり、クリスのこともカメラマンとして知っているようでした。しかし美術商は盲目でした。クリスが2階に行くとパーティで楽しんでいる人みんながクリスを見つめていました。そして充電器に刺した携帯はいつのまにか充電器が抜かれており、なにか嫌がらせを受けているのか?とクリスは思っていました
ロッドに愚痴の電話をし、催眠術をかけられたと言うとロッドは「洗脳されるぞ」と言いました。するとジョージナ来て、間違えてコンセントを抜いたことを謝りました。クリスが白人に囲まれて疲れないかと聞くと私は誰の下にもならないと満面の笑みで答えますが、目からは涙が流れていました。そして壊れたように顔は笑いながら「ノー、ノー、ノー、」といい部屋から去っていきました。クリスはどこか違和感を感じていました
携帯を手にパーティに戻ったクリスはこっそりとローガンを撮影しようとしますが、フラッシュを炊いてしまい、バレてしまいます。ローガンは怒りながら鼻血を出し、「ゲットアウト!!!」と言いながらクリスに近寄ります。母親のミッシーはフラッシュによるパニックだと言い、いつの間にかローガンは普通に戻っていました
ローズと抜け出し湖を歩きながらクリスは帰りたいと言います。その頃パーティ会場ではみんなビンゴ大会をしていますが、みんな無言で行っており、傍らにはクリスの写真があるのです。まるでオークションのような雰囲気でした。そしてビンゴの勝者は盲目の画商でした。
夜更けにローズとクリスは家にも戻るとパーティを終えみんな帰宅中でした。部屋に戻りローガンの写真をロッドに送ると、ローガンは行方不明になっていた男性でした。ロッドは黒人から性的搾取をしていると推理していました。ロッドと電話中にいつの間にか電池が切れてしまいました
ローズの部屋でローズが黒人とばかり写っている写真を見つけます。ジョージナやウォルターもうつっていました。急いでローズと帰ろうとすると弟のジェレミーが殴りかかってきます。避けようとするとミッシーがティーカップを叩くとなぜだかクリスは身体が動かなくなります。催眠術でした
途中で電話が切れたことを不審に思ったロッドは何度も電話をかけますが留守電になるだけでした。ロッドはクリスも行方不明になるんじゃないかと焦ります
目覚めたクリスは革の椅子に座らされて拘束されていました。その椅子からは綿が出ています。目の前のテレビではローズの祖父が催眠術を語っているのが流れていました。ティーカップをスプーンで叩くだけで人を硬直させられるといっていました。ミッシーが現れ再びティーカップを叩くとクリスは眠りにつきました
一方でロッドは警察に駆け込み行方不明弾性がそこにいること、友人が危ないこと、白人が黒人から性的搾取をしていることを訴えます。しかし警察では取り合ってもらえませんでした。焦りながらクリスに電話をかけるとローズが応答しました。ローズはクリスがタクシーで帰ったといいますが、ロッドは疑います。録音しながら会話をしようとしますが「あなた私のことが好きなのね」といわれロッドは怒って電話を切ります。切ったあとに録音されてることに気が付かれてることに気がつきました
クリスは目覚める度にティーカップを叩かれ眠ってしまいます。何か手立てはないかと考えてもねむってしまうのでした。別室では手術の準備が進んでいました。父親はローズを誉めます。弟のジェレミーは誘拐という形で黒人を連れてきますが、ローズは色仕掛けで安全に黒人を連れてくるからです。
ローズ一家は黒人を連れてきて脳の移植を行っていたのです。黒人の身体能力の高さを評価しており、老いた体を捨て黒人の体に乗り換えるのでした。今回クリスの体に乗り換えるのはビンゴで勝った画商でした。目の見えない画商は嬉しそうに目覚めたクリスに語りかけます。もう一度世界を見たいと。
手術がはじまります。画商の脳を切り開いています。ねむっているクリスを運ぼうとジェレミーがきますか、眠っているはずのクリスがジェレミーを殴ります。革の椅子から出た綿を耳に詰めて耳栓代わりにしていたのです。
ジェレミーを何度も殴ったクリスは父親に襲いかかり剥製である鹿の角で腹部をさします。騒ぎを聞き付けたミッシーがカップを叩く前に叩き落とし、ミッシーが持っていたナイフでミッシーをさします。そのころローズはイヤホンで音楽を聴きながら次の男性を物色するためにインターネットをしていました。
車の鍵をみつけ急いで逃げだすクリス。すると道路の前にジョージナが飛び出してきて轢いてしまいます。ひき逃げされた母親とダブりジョージナを助手席に乗せて進みます。「私の家を壊したわね」と掴みかかってきます。黒人女性だと思って助けたジョージナは昔に脳移植をされたローズの祖母でした。
そのまま事故を起こしジョージナは死に、やっとの思いで車から抜け出すと銃を持ったローズがいました。逃げ出そうとすると庭師ウォルターがクリスにタックルをし目潰しをしてきます。ウォルターも脳移植をうけたローズの祖父でした。ローズから銃を受け取りクリスを撃とうとしますが、クリスはカメラでフラッシュをたくと祖父の動きが止まります。フラッシュを炊いた時だけ体の持ち主の意識が戻ってくるのでした。祖父はそのままクリスではなくローズを撃ってしまいます。
そのまま孫を撃ったショックで銃で自殺するウォルター。急いで銃を奪い取ろうとクリスもまだ動けるローズもします。ローズの首に手を掛けたものの、愛してると懇願されると好きだった頃を思い出しどうしても力を込められません。
すると底へ警告灯を光らせた車がやってきます。ローズは警察だと思い助けを求める彼女を演じようとしますが、降りてきたのはロッドでした。パトカーではなくロッドの仕事先運輸保安局の車でした。クリスを乗せローズを置いてその場を去る二人。置いていかれたローズはそっと目を閉じました
解説
この映画にはたくさんの伏線がはられています。それを取りあげて行こうと思います
鹿の意味
この映画には冒頭の引かれる鹿から、ローズの家にある鹿、父親をさしたのも鹿の角などいろんな鹿が出てきます
クリスは鹿を轢いたことにより母親を思い出します。鹿=家族という面もあります
そして警察が来た時黒人であるクリスを疑おうとしたことにローズは怒り、免許証の提示を拒みました。と思いきや、クリスがいなくなったことで足取りがとこることを危惧した気もしますね
鹿はスラングでの意味を多く持ち、「彼女のいない男性」「他人に責任転嫁」「ひどくおびえる」「繁殖力」「若い娼婦」などがあります。
彼女のいない男性というのはクリスのことで、ローズには実は愛されていなかった
若い娼婦はローズのことで肉体だけを求めていたという意味にもとれます
ゲットアウトの意味
ゲットアウトには意味が二種類あり
出ていけ!
逃げろ!
の二種類です。
出ていけというのは脳移植をしたのに元の人格が、俺の中から出ていけ!
逃げろ!はこの奇妙な家から逃げろ!という意味ですね。
黒人男性がゲットアウトといい、クリスに言ったのはどちらの意味だったのでしょう。逃げろ!という意味だと私は思いますけどね。こうなってしまう前に、早く逃げろ!という勧告だったのでしょう。自分の意識を取り戻そうなんて彼は何度も試したでしょうし、無理だとわかっているはずだから。
フラッシュの意味
フラッシュを炊くと一瞬動きが止まるんですよね。その意味としては脳の移植をしていても、元の人格はあるということなんです。フラッシュなどで一瞬目が眩むとその人格が出てくるんですよね。
2つの人格が共存と言うより、脳という大部分が違う人物なので押さえつけられてるんでしょうね。
ジョージナの涙
1番不気味で不穏な感じが漂う瞬間ですよね。クリスが白人に囲まれて辛いだろというと、顔は満面の笑みで今の生活が満足みたいなことを言うのに、静かに涙が流れ、ばぐったように「NO、NO、NO」というシーンです
ジョージナは祖母の意識が入っています。その涙はクリスに危険を伝えるためだったのではないでしょうか。ほかにもジョージナは窓の外をぼーっと眺めているシーンもあります。
祖母の意識はあるものの、体の持ち主の抵抗なのかもしれません。携帯について謝ったのも持主の意思があったからなのではないでしょうか
まとめ
様々な伏線が張り巡らされ、見ていて飽きません。むしろオチを知ったからこそもう一度見たくなる作品です。あと白と黒のコントラストが沢山あり、白人と黒人の壁のようなものを感じることができます
この作品そのものが差別をしないと言っているものの、どこか差別的意識が残っているというアピールなのかもしれません。黒人を讃えるのも奥底に憧れや軽蔑が入り交じっているからなのではないでしょうか。だって白人が黒人と同等の能力を持っているならば、彼らは白人の身体を用意したでしょうし。
サスペンスホラーを見たい方には是非オススメ作品です