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【映画】ダンサーインザダーク あらすじからネタバレ結末考察。ラストイライラ欝映画?見る度に変わる感想

【映画】ダンサーインザダーク

ダンサー・イン・ザ・ダーク(字幕版)

ダンサーインザダーク

あらすじ

60年代のアメリカ。セルマは女手ひとつで息子のジーンを育てながら工場で働いている。彼女に対して理解と愛情を持つ人々に囲まれ満ち足りた生活を送っていた。ただ一つを除いて。彼女は遺伝性の病のため視力が失われつつあり、ジーンも手術を受けない限り同じ運命を辿ってしまうのだった。そのために、内職もしてジーンの手術費用を貯えていた。が、ある日工場を解雇されてしまい、貯めていたお金まで盗まれていた……。

 

予告

 

キャスト

セルマ・イェスコヴァ(ビョーク)

キャシー(カトリーヌ・ドヌーヴ)

ビル (デヴィッド・モース)

ジェフ (ピーター・ストーメア)

ノーマン (ジャン=マルク・バール)

 

感想

この映画始めてみた時はミスト見たかのように落ち込みました。【鬱映画】としてよく挙げられていて、「ミストを超えるものなんてないだろ」と強気で見て見事に落ち込みました。

 

最初から鬱映画と知ってみたから、最初から不穏なんですよね。

 

セルマの視力が弱くなっていくこと

線路を堂々と通ること

無駄に味方がいること

お金を貯めてるって気軽に言うこと

妄想の世界に入り込んでること

 

全てが計算されたかのような感じなのです。前情報なく見たら、シンデレラ・ストーリーなのかと思うかもしれません。それほど視力の弱まっていく彼女は美しくも儚げなんです。

 

この映画の凄いところは1度見たら、もう二度と見たくないとは思うものの、月日が経てば『また見てみようかな?』とか思うところなんです。

 

しかも見る度に感想が変わるのです。むしろ、自分の気持ちのバロメーターになるのです。

 

初見はなんてことだ。彼女が何をしたって言うんだ!→彼女が可哀想

 

次は、なんで彼女は闘うことをしなかったんだ。子供を残して身勝手な母親だ→彼女に怒り

 

次は彼女は自分の病状が進む中妄想の世界にしか既に居場所はなかったのかもしれない。子供だって自分の遺伝のせいで…→彼女への同情

 

など見る度に感想が変わるのです。最初はただ一生懸命生きただけなのにこんな未来が待っているなんて…と思うのですが次第に抱く気持ちが変わるのです。

 

あんなにたくさんの人に愛され支えられていたセルマ。だからこそ彼女の選択に怒りを覚える人もいるのでしょう

 

それほどまでに彼女は人を惹きつける程の魅力を持った人とも言えるのかもしれません。彼女が夢見た舞台女優のように。

 

ストーリーネタバレ

セルマは女手一つで12歳の息子ジーンを育てています。昼は工場で、夜は内職をして息子を育てていました。

 

セルマは警官であるビル夫妻の敷地にあるトレーラーハウスでくらしていました。セルマは遺伝性の目の病気を持っており、あまり見えていませんが、いずれ完全に失明する運命でした。遺伝性ということで、息子ジーンにもその症状が出始めていました。

 

しかし手術をすれば息子の目は治るということを知り、セルマは今まで以上に節約し、お金を貯め始めました。

 

毎日朝に夜に働くセルマの唯一の楽しみはミュージカルでした。劇団に行き、歌うだけで高揚感ていっぱいになりました。周りの人にも恵まれ、あまり見えないセルマをみんな助けてくれていました

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工場ではセルマと仲の良いキャシーという女性がおり、いつもセルマを手助けしてくれていました。キャシーのことはクヴァルダとニックネームをつけるほどの仲の良さでした。健康診断では視力が悪いとクビになるので、2人で検査表を暗記したりしていました。そして医師もそれに気がついていましたが見逃してくれていました。

 

同じ街にジェフという男性が住んでおり、彼はセルマに片思いをしていましたが、セルマは取り合いません。セルマ自身も気になってはいますが自分の境遇を思うと勇気が出ませんでした。なにより、息子に手術を受けさせることがセルマにとっての人生の目標でした。

 

唯一の心の拠り所のミュージカルは次第に見えなくなる目で、演技が難しくなってきていました。仕事でも次第にミスをしそうになり始めました。しかしキャシーがなんとか手助けをしてくれていました。

 

息子ジーンは自転車を欲しがりますがそれを買ってあげられるほどの余裕はありませんでした。しかしキャシーやビル夫妻たちがお金を出してくれ、自転車を買ってくれたのです。感謝するセルマにビルの妻てもあるリンダが「遺産があるから」と言うのでした

 

しかしビルはある夜セルマに愚痴を言います。リンダの浪費によりもう遺産は底をつき、借金まであると。自宅も既に抑えられていると。警察官で威厳のあるビルの弱音にセルマもつい自分の弱いところを見せてしまいます。ビルに『もう時期目が見えなくなること。息子の視力もいつかは見えなくなるが、手術をすれば大丈夫だからお金を貯めているの』と言いました。

 

次第に目が見えなくなっているセルマは通勤すらも難しくなってきていましたが、ビルが送るよと言ってくれましたが、車内で話されたのは金の無心でした。手術のために断りましたが、ビルの憔悴っぷりは凄いものでした

 

目が見えなくなる前に手術費用を貯めたいセルマは夜勤も増やします。キャシーはセルマを心配しますがセルマはやる気でキャシーも手伝うことにしました。ミュージカルの役も既に降りててしまったセルマには機械の音すらもミュージカルのように聞こえ妄想の中で歌って踊るのでした

 

セルマは迎えに来てくれたジェフを断り一人で歩きます。ほぼ見えていない目を悟られるのを避けるためでしたが、周りは気がついていました。

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ある日の夜勤でセルマは機械をこわしてしまいくびになります。ジェフは後をおってくれますが、視力を失ったセルマは帰宅します。自宅にかえり、お金を入れようとしたところ、缶の中が空っぽになっていることに気がつきます。ビルがいつもお金を入れていることを知っており、盗んだのでした。

 

すぐにビルを問いただしに行きますが、ビルは妻にすらセルマが迫ったと嘘をつきます。妻はトレーラーハウスからセルマを追い出そうとします。しかしビルの部屋にセルマは向かいお金を返すように頼みます。しかしビルは拳銃でセルマを脅します。

 

揉み合いの末拳銃を奪ったセルマにビルは『金が返して欲しくば撃て』と脅します。ビルは被害者になることで盗んだ事実から家族を守り、セルマが悪かったことにしようとしていました。セルマはビルを撃ち殺してしまいます。お金を奪い返し、そのままセルマはにげだします。

 

向かったのはジェフの元でした。ジェフとともに医者の元へ向かい手術代を支払います。そのままミュージカルの稽古を見に行っている際に景観がやってきて逮捕されます。セルマは見事悪役に仕立てあげられ世間から厳しい目に晒されます。

 

裁判が始まり、用意周到に強盗殺人をしたとされ、絞首刑の死刑が言い渡されます。キャシーが手術代のことを知り、そのお金で弁護士を雇うことを提案されますが、セルマは拒否しました。

 

刑務官はセルマに酷く同情しており、刑の執行を怯えるセルマに107歩で絞首刑の場所につくと教えてくれます。目の見えないセルマにとって終わることなく続く恐怖より、ゴールが見えた方がとの思いでした

 

刑の執行日、セルマは妄想をしながら絞首台に登ります。しかき頭に布を被せられると恐怖から息が出来なくなります。女性刑務官は目が見えないのよといい、布を取ってくれます。そこへキャシーが割行ってきてセルマにメガネを渡します。それは息子の手術が成功したということを表していました。

 

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そのままセルマは大声で【最後から2番目の歌】を歌いながら、足元の板がはずれます。見届け人と女性刑務官はやるせなさで呆然とするしかできませんでした。

 

 

考察解説

ダンサーインザダーク話自体は明瞭なんです。コツコツ頑張っていた夢見がちな女性が、どん底に落ちて死刑になると。しかし、何がここまで有名にさせたのか。

 

どうして妄想の世界に生きたのか

彼女にとって現実は辛く悲しいものなんでしょう。現実は高給取りでもなく町工場で働くだけ、そして自分の視力は見えなくなることが確定していました。

 

現実逃避をし続けたのでしょう。

息子の手術ものこともひた隠しにしてきました。それは優しさではなく、妄想という夢を見ていたからなのではないでしょうか。いつか羽ばたけると。

 

彼女にとっては息子は自分のミュージカルの登場人物のひとりなのです。

 

【良き】母親だったのか

普通にこの作品を見ていると、セルマは良き母親に感じられます。

 

自分の視力を失っても息子の消えゆく視力のためにお金を貯め、手術を受けされるのですから。そして視力を失った自分では息子の将来の邪魔になるから、自ら死刑を受け入れたのではないか。

 

果たしてそうなのでしょうか?

日本の社会で物事を考えてしまいますが、息子は殺人者の息子というレッテルが貼られ続けるのでは無いでしょうか?

 

そして息子自身にも重い十字架を背負わせるのです。自分の視力回復のために母が間違いだったとしても人を殺めています。そしてそれが元で死刑になるのです。

自分のせいじゃんって思いませんか?彼女はそこまで考えていたのでしょうか。

 

セルマはどうして遺伝性の病気があるのに子供を作ったかと聞かれ、

赤ちゃんを抱きたかったの。この腕に】と言います。きっと孤独だった彼女は必ず味方になってくれる存在が必要だったのでしょう。

 

自分という悲劇のヒロインというミュージカルによって彼女は幕を下ろしたけれど、幕の外ではまだ未来が続いているのです。良き母親として描かれている分、猛烈な違和感がラストを終えて、襲ってくるのです。

 

ラスト【最後から2番目の歌】

愛するジーン。あなたがそばにいる。

だからもう何も怖くない。忘れていたわ。私はひとりぼっちじゃない。

これは最後の歌ではないわ。

バイオリンの音もしなければコーラスもない、ダンサーもいない

これは最後から2番目の歌。それだけのこと。

ママの言いつけを守るのよ。

忘れないでパンを包むこと。

ちゃんとなさい。ベッドも治すのよ。

これは最後の歌ではないわ。

バイオリンの音もしなければ、コーラスもない。ダンサーたちもいない

これは最後から2番目の歌。それだけのこと。

 

《これは最後から2番目の歌。分かるでしょう?私たちがそうさせない限り最後の歌にはならないの。》

 

これはセルマの人生なのでしょう。誰かのクライマックスにもなれず、最後から2番目の歌。

そして幕を閉じていくセルマはまだ終わりたくないという意思が隠れているのかもしれません。《》内は歌うことが出来なかった歌詞です。最後の歌にはならないのという言葉が歌えませんでした。それは彼女の人生が終わるから。【そうさせない限り】が【そうされてしまった】のです。

 

ダンサーインザダーク

dancer in the dark

=暗闇の中のダンサー

 

暗闇は盲目になってしまったセルマを指すのでしょう。盲目のダンサー(演者)

見えなくなっても人生を演じ続けたセルマの事なのかと思うと題名からして切なくなりますね。

 

見えない中必死に踊るのです。何もわからないまま。

 

彼女について人々が考えたとき様々な印象を持ちます。それは怒りだったり、軽蔑だったり、同情だったり。それはえんじた彼女の虜になったということなのでしょう。盲目のダンサーの虜に。セルマの夢見ていなた女優の道を知らず知らずに見せられていたのかもしれませんね

 

まとめ

セルマという女性の報われなさが気になる作品です。見て終わったあと憂鬱になりたい方にはオススメです。

 

見る度に感想が変わってくる不思議な作品でもあります。理不尽という言葉が似合う映画かもしれません。しかし、見れば見るほどにたくさんの視点から見ることが出来るので、セルマの身勝手さにも気がつけるのです。

 

1度見て憂鬱になるのに歌の迫力などのせいなのか再び見たくなる映画です