【映画】アメリカンスナイパー
米軍史上最多、160人を射殺した、ひとりの優しい父親
あらすじ
イラク戦争に出征した、アメリカ海軍特殊部隊ネイビーシールズの隊員クリス・カイル(ブラッドリー・クーパー)。スナイパーである彼は、「誰一人残さない」というネイビーシールズのモットーに従うようにして仲間たちを徹底的に援護する。人並み外れた狙撃の精度からレジェンドと称されるが、その一方で反乱軍に賞金を懸けられてしまう。故郷に残した家族を思いながら、スコープをのぞき、引き金を引き、敵の命を奪っていくクリス。4回にわたってイラクに送られた彼は、心に深い傷を負ってしまう。
予告
キャスト
クリス・カイル(ブラッドリー・クーパー)
タヤ・カイル(シエナ・ミラー)
コルトン・カイル(マックス・チャールズ)
マーク・リー(ルーク・グライムス)
ゴート=ウィンストン(カイル・ガルナー)
マーテンス(サム・ジェーガー)
ライアン・ジョブ〔ビグルス〕(ジェイク・マクドーマン)
感想
予告を見ても大して興味が湧きませんでした。狙撃のシーンが主でストーリーが頭に入ってきませんでした。
しかし見てみるとあまりの緊張感に驚きました。ずっと緊張の糸が貼るのかと思いきや、たまに自宅に帰るシーンでこちらも安心できるのです。そこからの再び訪れる緊張感で見終わる頃には疲れきります。
映画のラストは本当に衝撃でした。前情報なしで見るから余計に。逆にあの予告だから前情報もわからないし、調べようがないというのもあるのかもしれません。
戦争ではたくさんの人が死んでいきます。普段人を殺したら殺人鬼として恐れられますが、戦争では真逆です。反乱分子は徹底して排除しなければなりません。そして戦果が英雄として称えられるのです。相手が女性や子供であっても。
そしてそんな英雄として称えられる人もいくら人を殺していても1人の人間ということに気が付かされる映画でした。
全編胸を締め付けるような緊張感を味わえる映画です
ストーリーネタバレ
クリス・カイルは父と母、弟のジェフの家族4人で暮らしており幼少期から父親の狩りについて行き狩猟について教わっていました
飲み込みの速さや狙撃の的中率から父親からは『一流のハンターになれるぞ』と褒められます。父親はクリス兄弟に世の中には3種類の人間がいるということを教えてくれました
世の中に悪なんて存在しないと信じ、悪意に晒された時自分を守れない羊
弱者に暴力を振るう狼
群れを守るために狼とも戦う、圧倒的な力の持ち主牧羊犬
そして父親はクリスとジェフ兄弟に羊でも狼でもなく牧羊犬になることを伝えるのでした。
1988年にはそんな兄弟は大人になり、大使館連続爆破事件などを見て国のためになにか出来ないかと思い2人は海軍に入隊しました。しかしカイルはその時既に30歳で上官からも茶化されるほどでした。クリスは成績優秀で『ネイビーシールズ』に所属しました。そこでクリスは射撃の腕をどんどん上げていきました。上官と対立しても射撃の腕で上位に経つことすらできました。
2001年にクリスはタヤという女性に出会い一目惚れしますが、タヤはネイビーシールズに所属していると知るとクリスには振り向きませんでした。しかしクリスからの熱心なアプローチに負け付き合うようになり2002年には2人は結婚しました。しかし結婚式直後にはクリスはイラクに派遣されることになりました。
同時多発テロが起こり米国はイラク戦争に突入していました。クリスは屋上から戦車をスコープ越しに見ていました。本部は「怪しい動きをするものは撃て」と命令を下していました。1組の親子が現れ女性は子供に手榴弾を手渡します。子供がそれを戦車に放つ前にクリスは子供を撃ち殺しました。女性が戻ってきて戦車に手榴弾を投げ込もうとしますがそれも射殺しました。クリスは「こんなだとは…」と漏らしました。
次の日もクリスは暴走する車の運転手を撃ちます。軍を守ったと周りからは褒め称えられますがどうしても喜べませんでした。クリスは一回目の派遣で8人を狙撃しました。民間人を撃つことは許されておらず、民間人を撃った場合は軍の刑務所にいれられます。
イラクのNo.2であるザルカウィという人物がアメリカの標的で見つけ次第、殺す命令がでていました。ザルカウィを探すために軍は聞き込みをしていました。ザルカウィの右腕でブッチャー(虐殺者)と呼ばれている男性が避難区域にいるという情報を得ました。教えてくれた長老は代わりに金銭を要求し、軍もそれを飲みます。が、どこからか漏れ、長老と息子は殺されてしまいました。クリスは救えた命が救えなかったことを後悔します。その時イラク軍にもオリンピックに出るほどの腕前の狙撃手がいることを知りました
派遣が終わりクリスはタヤの元へ帰ります。タヤは妊娠しておりそろそろ子供が生まれそうでした。2人は検診に行きその後無事男の子が産まれました。久しぶりに弟のジェフに会ったクリスですが弟は故郷に帰るといいました。クリスの評判は海軍全てで轟いていて誇りに思うと言ってくれました。
2回目の派遣が決まりました。クリスは兵曹長まで昇進していましたがイラクでも最重要人物とされ懸賞金がかけられていました。クリスは民間人の家でブッチャーを待っていましたが家人の態度に違和感を持ちます。主人の腕には狙撃手特有の痣があり、それに気がついたクリス達は家探しをすると大量の武器が出てきました。ブッチャーの協力者ということで逮捕しましたがブッチャーには逃げられてしまいました。
派遣が終了したクリスですが自宅で解離症状に苦しみます。戦場での緊張感と自宅での安心感とのギャップに体がついて言っていませんでした。その頃タヤは2人目の子供を出産していました。女の子でした。タヤはクリスを心配し続けてくれていました。
3回目の派遣が決まりました。クリスはブッチャーを追い詰めていました。外に出て話す男性を発見します。しかしその間にクリスの横にいた同僚が狙撃されます。彼は今回の派遣が終わったら結婚する予定でした。幸い命に別状はありませんでしたが、クリスたちのチームは復讐を誓いました。
しかしそこでも同僚が撃たれ、今度は死んでしまいました。成果も出せず3回目の派遣が終了しました。
クリスは亡くなった兵士の葬儀に出た後打たれた兵士を見舞に行きます。結婚が決まっていた彼は、顔の半分が怪我し、形成手術をするといっていました。クリスは復讐をするからといい帰宅しました。
クリスは妻のタヤから戦争に行くのは辞めてといわれますが、次で最後にすると約束し、4回目の派遣に旅立ちました。
仲間たちは精神を病みどんどん辞めていきました。そんな時形成手術をしている最中に急変して亡くなったと連絡が入り、いよいよクリスも精神的にしんどくなってきました。
クリスは少年が武器を拾ったのを見て撃ちたくないあまり、「持つな持つな」と念仏のように唱えます。少年は武器を放り出し逃げていきます。それを見てクリスは安堵します。基地に戻るクリスたちが乗る車が襲撃されました。すぐに応援を呼びますがここからでは20分はかかると言われました。
クリスは急いで撃ってきた方角を考え相手の狙撃手を狙撃しますが、それはクリスたちの位置を教えていました。敵兵がクリスたちを囲みます。空爆の許可をクリスは出します。爆撃の砂埃に紛れ命からがらにげだしました。4度目の派遣が終わりました
クリスは2009年に海軍を退役しました。160人もの人を狙撃し殺しました。しかし戦場でのトラウマは消えず苦しみ続けました。傷痍軍人の会に入会し、周りに支えられなんとか回復をしていきました。息子と狩にまで行けるようになりました。退役後のクリスは教官として人々を教えていました。
2013年2月2日、クリスは自分と同じように苦しむ人達のサポートもしていました。元海兵隊員を連れてクリスは射撃場へ向かいます。しかしその若者によって殺されてしまいました。38歳の若さでこの世を去りました
「クリスカイルはその日、力になろうとした元兵士に殺された。」
解説
イラク戦争のことや、クリスカイルについて色々解説していこうと思います。
イラク戦争とは
アメリカが主体となり有志連合隊と共に「イラクの自由作戦」の名の元に軍事介入した戦争のことです。
1991年の湾岸戦争で【大量破壊武器の廃棄⠀】でイラクは同意したのに実は武器を隠し持ってるんじゃないか?という疑念から始まった戦争です。
2003年3月20日に戦争が始まりました。5月には大規模戦闘終結宣言がなされ、2011年に終戦を迎えました。
ちなみに戦争の元になった大量の兵器は見つからなかったそうです。
クリスカイルについて
実在した人物です。2003年から2009年の間に4回イラク戦争に派遣されています。激戦地に派遣されていたようです。160人を狙撃したそうです。(非公式戦だと255人とも言われています。)
味方からは史上最高の狙撃手
敵からは悪魔と呼ばれ懸賞金が掛けられるほどでした。
味方が敵から襲われているのを援護しかできずたまに、命令を無視し、自分も戦地を駆け巡ったそうです。10代の海兵隊員が目の前で腕の中で死に、彼の中に大きなしこりを残したそうです。売ったことに罪悪感はなく、むしろもっと倒せればたくさんの仲間を救えたとも言っていたそうです。
除隊後は軍事訓練を行う会社を立ち上げたそうです。戦闘をつづったこの映画の元にもなった本も書きあげたそうです。印税などは寄付等もしていたそうです。

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クリスカイルはなぜ殺されたのか
退役軍人でPTSDに苦しんでいるというルースという青年を同じ退役軍人とチャドと共に射撃訓練所に行った時、ルースの発砲により殺害されました。クリスとチャドのふたりが死亡する事故でした。ルースはその後逮捕され終身刑が言い渡されました。
犯行に及ぶ前に薬物とアルコールを摂取していたこともわかったそうです。簡単に言うとラリった状態で現れて、クリスとチャドは驚いたそうです。2人はこっそりメールをしあっていたり、妻に愚痴のメールを送ったりしていたそう。
犯人のルースは無視されたことなどを腹を立てたのではと言われていますが真相は闇の中のようです。
ルースという青年
クリスを殺したルースはPTSDを患った退役軍人です。彼もアメリカを救いたいと軍人になりました。皮肉なことに彼が入学した高校はクリスも卒業した高校でした。
イラク戦争で武器の補給や修理の舞台でしたが目の前で繰り広げられる惨劇に徐々に心を病んでいきました。戦争から帰っても銃の音を聞いたら酷く動揺したりしていたようです。
ハイチ地震の救援に言った際はたくさんの遺体をみていたそうです。食料を欲しがる子供に与えられなかったことをずっと後悔していたようです。
そして退役したあともPTSDで苦しみ酒や薬物に溺れていたそうです。母親の紹介によりクリスと出会ったようでした。そこからの凶荒でした。
まとめ
イラク戦争というのは日本人からしたらはるか遠くで起きたこととおもっていますが、実は日本も自衛隊派遣をしていたりと関係もしています。
戦争だからこそ殺した数が英雄となるのは皮肉なことだなあとは思います。
軍人として英雄だった人も1人の父親だったというストーリーです。驚愕の最後をむかえますが、緊張感やスリルは凄まじいものでした。