ぺぺの映画備忘録

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【映画】否定と肯定 あらすじからネタバレ結末解説。ホロコーストの実話と裁判。

【映画】否定と肯定

否定と肯定 (字幕版)

ホロコースト、信念の法廷が今はじまった。

あらすじ

1994年、イギリスの歴史家デイヴィッド・アーヴィング(ティモシー・スポール)が唱えるホロコースト否定論を自著「ホロコーストの真実」で否定していたユダヤ人の女性歴史学者デボラ・E・リップシュタット(レイチェル・ワイズ)は、アーヴィングから名誉毀損(きそん)で提訴される。やがて、法廷で対決することになった彼女のサポートのためイギリス人による大弁護団が結成され、歴史の真実の追求が始まり……。
 

予告

 

キャスト

レイチェル・ワイズ(デボラ・E・リップシュタット)

トム・ウィルキンソン(リチャード・ランプトン)

ティモシー・スポール(デイヴィッド・アーヴィング)

アンドリュー・スコット(アンソニー・ジュリアス)

ジャック・ロウデン(ジェームズ・リブソン)

 

感想

第二次世界大戦について調べている時に出会った映画です。大抵の戦争ものの映画は戦争の最中のものや終戦直後や回想が多いイメージでした。

 

しかしこの映画は戦後しばらく経ってから、ホロコーストという部分に点を置きホロコースト自体が本当だったのか嘘だったのかそれぞれの名誉をかけてたたかっています。戦争について語っている部分は同じなのに斬新な視点だなぁと思いました。

 

どの時代にも過去の過ちでも正当化したり改ざんしたりして語られていくものもある中、正しい歴史認識をきちんとするって言うのは大切なことだと思います

 

今回は裁判が主なる主点でしたが、それにまつわる人達が魅力的でした。デボラはもちろん弁護士たちや敵なはずのデイヴィッドまであの腹立たし感じなのに魅力的に感じるんですよね。

 

裁判のシーンが多いのにそれを見てて飽きない展開なのはすごかったです。裁判は簡単にいうと口論です。口で語り戦うのです。その部分をいかに飽きさせずに見させるかというのは難しいと思います。しかしこの映画は飽きることなく見られました。

 

この映画ひとつでホロコーストについて知れるのもそれをセリフなどに絡めながら説明して言ってくれるのでおいていかれることもありません。

 

歴史について間違った解釈が進まないようにそういうことにもきちんと目を向けるべきだと警告してくれるような映画です

 

 

ストーリーネタバレ

アメリカの研究者デボラ・リップシュタットはナチス・ドイツが行ってきたホロコーストについて研究していました。今回「ホロコーストの真実」という本を出版し、その本の記念として学生とディスカッションする場を設けました。

 

学生から「ホロコースト否定論者についてどう思いますか?」と聞かれ「そのような人とは話すだけ無駄です」と言いきります。彼女自身著書の中で否定論者の人を非難していました。

 

その場にホロコースト否定論者であるデイヴィッド・アーヴィングが混じっており、デボラに討論を持ちかけますがデボラは無視し続けます。しかし無視こそがホロコーストがあったという証拠が出せないだけだと大声で語り始めてしまいディスカッションはめちゃくちゃに幕を閉じました。

 

その本の出版から2年後にデボラがイギリスから訴訟を起こされました。その内容はデイヴィッドに対する名誉毀損でした。デボラは受けて立とうとその裁判に反論することを決めました。

 

デボラはアメリカ人でしたが本の出版自体はイギリスで行っていました。そのためイギリスでの訴訟になったのですが、真の目的はイギリスでの名誉毀損は被告側(デボラ)が立証をしなければならないのです。つまり、ホロコースト否定論者のデイヴィッドが嘘をついているという証拠が必要だったのでした。

 

デボラは弁護士であるアンソニーやリチャードを元にたくさんの弁護士がデボラの味方をしてくれ事になりました。最初にデイヴィッドの20年分の日記を証拠として提出してもらいましたが、莫大な量であると共にたくさんの言語で書かれていた日記は読み解くのに莫大な時間が要することになります。

 

デボラはデイヴィッドとその弁護団に会いに行きます。デイヴィッドの正当性を示すために行われた裁判でした。そのためあの時の生存者の証言はいらないと言いますがデボラは不満を言いますが、デイヴィッドは生存者に辛い想い(嘘だと証明)させないためだよとまで言いました。

 

デボラたちは日記から右翼側との繋がりを見つけること、デイヴィッドの著書から矛盾をみつけ正しい証拠を見つけることにしました。

 

デボラはその間にリチャードとともにアウシュヴィッツ強制収容所に向かいます。地元の学者とともに内部を見て回ります。目の前にはボロボロになった焼却棟がありました。当時、終戦時に証拠隠滅のために爆破されたからでした。大勢が命を落としたガス室も姿は失われていました。ユダヤ系のデボラはどうしてここで起きたことが許せませんでした。

 

デボラの弁護団は作戦として判事1人に判決を決めてもらう単独審で行うこと、デボラは証言台に立たないことを元に裁判を行うことにしました。あくまでデイヴィッドの矛盾を付く為でホロコーストの有無は関係しないとします。デボラは証言できないことが不満でしたがあくまで作戦のためでした

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©DENIAL FILM, LLC AND BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2016

 

そして2000年に裁判は始まります。このことについても世間はたくさんの関心を寄せますが、弁護団からの指示で何もデボラは話しませんでした。

 

裁判所ではデイヴィッドは弁護士をつけず1人で証言をするつもりのようでした。デイヴィッドは饒舌にホロコースト否定論者では無いと言い、歴史をねじ曲げて言っている人がいるから正しいことを教えているだけであるというのでした。

 

 

一回目の公判のあとデボラはユダヤ人女性に声をかけられ自分たちもあの当時のことを証言するといいます。デボラは了承しますが弁護士立ちからは拒否されてしまいました。

 

次の公判ではデイヴィッドはアウシュヴィッツの見取り図を取り出し、焼却棟やガス室はなかった、あったのは霊安室だったと証言します。確かに見取り図にはそう書かれていました。マスコミたちもそのことを大々的に報道し始めてしまいました。デボラは世論がホロコースト肯定派と否定派になってしまうと焦ります。歴史からすると否定派なんてあってはならないことでした。

 

デボラは自らも証言に立つといい、ユダヤ人の証言者もいるといいますが、弁護士たちはいい顔をしません。弁護士たちは過去のデイヴィッドの裁判での映像をデボラに見せます。そこでは証言に立った人が一方的にデイヴィッドに言われ辱められていました。

ユダヤ人が容れられた刺青でいくら稼いだんだ?と笑いながらきくデイヴィッドが写っていました

デボラはその映像を見て何も言えなくなってしまいます。

 

次の公判ではデイヴィッドのアウシュヴィッツについて言うことがコロコロ変わることをデボラの弁護士が指摘します。マスコミはそのことも取上げてくれました

 

次の公判ではデイヴィッドの矛盾や偽造をつき、普段からテレビや著書などで差別的発言が目立つといいます。しどろもどろになるデイヴィッドに裁判はどんどんデボラ側に傾いてきます。

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©DENIAL FILM, LLC AND BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2016

 

言論の自由という部分になってきたとき、デイヴィッドは真実をねじ曲げて発言していることそらは言論の自由ではなく捏造だと言います。裁判官は「もし、心からの反ユダヤ主義者ということが問題なのならば、今回の資料改ざん問題とは繋がりを持たないのでは?」と言いますが、デボラの弁護人はそのふたつは関連しているため、否定について信憑性がないことは言ってはならないといい、次の判決を待つことになりました。

 

判決の日、デボラは勝訴しました。裁判官はデイヴィッドは意図的に史実を捏造し、諸顎を湾曲していると言いました。喜ぶデボラ側にデイヴィッドは弁護士に「完敗だ」と握手を求めてくるが、弁護士は無視しました。

 

デボラはマスコミのインタビューに「これは言論の自由の裁判ではなく、悪用から自由を守るためのものです嘘と説明責任の放棄は許されない」と言い、「デイヴィッドよりもアウシュヴィッツでの生存者と死者にみんなあなたがたを忘れない苦しみの声は届いたと伝えたい」言いました。

 

デボラはホテルでテレビに写ったデイヴィッドがアナウンサーに、否定論者を辞めるのかと問われ「辞めるわけがない」と笑いながら言うのを呆れた顔で見つめていた。

 

否定と肯定 (字幕版)

否定と肯定 (字幕版)

 

 

 

解説

この映画は実在したことを元にして描かれています。その事について解説していきたいと思います。

 

ホロコーストとは

第二次世界大戦中の国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス党)率いるナチス・ドイツがユダヤ人などに対して組織的に行った大量虐殺を指す。一Wikipediaより

 

日本でもよく聞くアウシュヴィッツで起こったことやユダヤ人迫害などのことです。

犠牲者の数はきちんと発表されておらず、250万人から600万人と言われています。

統計的にユダヤ人の減少で見たところ580万人とされていることが多いようです。こんなに沢山殺されたからこそきちんとした数が分からないのかもしれませんね。しかし、ユダヤ人だけでなく捕虜なども含まれていたため正しい数字はわかっていないようです。

 

たった数年のうちにこれだけの人がなくなると言うのは凄まじいことだと思います

 

労働による殺害からガス室、虐待、などが主な死因だったようです

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実際の裁判

アーヴィング対ペンギンブックス・リップシュタット事件ということで大変有名になった裁判です。

 

この裁判はホロコーストがあったかどうかが論点ではなく、名誉毀損についてが主でした。名誉毀損を立証するためにホロコーストについて触れた感じのようです。

 

デイヴィッドがホロコーストについての歴史を湾曲させたということが立証され、裁判はデボラ側の勝利となりました。

 

このことによりデボラというより敏腕弁護士たちにも注目が集まったそうです。

 

裁判のその後

デイヴィッドは控訴したものの棄却されたようです。そしてその後も変わらずホロコースト否定論者としてテレビや公演を開いたりしていたようです

 

しかし2006ねんにオーストリアでいつものように公演していたところ逮捕されたようです。オーストリアではホロコースト否定は犯罪に当たるからです。

 

その後口だけかもしれませんが「ホロコーストについての意見を変えた。ナチスは確かにたくさんの人を迫害した」と言ったそうです。

 

ホロコースト否定論者

現在もいるそうです。日本にも右翼的左翼的思想があるように、彼らにもそのような思想があり続けるのかもしれません。彼等は否定論者と言われることを嫌い修正主義と自称していることが多いらしいです。

 

ホロコースト否定論者は全くなかったと言っていることはなく、犠牲者は数十万人程度だったと言っていることが多いそうです。世論的に見ると彼らの言い分は「ヘイトスピーチ」として捉えられていることが多いようです。

 

まとめ

戦争が終わってから戦争責任についての裁判はよくありますが、そのことを体験していない人達による原論で傷つく犠牲になった人に寄り添うかたちとなった裁判でした。

 

誹謗中傷という裁判でしたが確かにホロコーストは有り、たくさんの犠牲者が出たという確固たる証拠や証言によって勝ち得た勝訴だったのでしょう。

 

ナチス・ドイツという歴史を調べるにあたって必ずぶつかる裁判のことについての映画です。史実を大切にし、犠牲者に寄り添っていくことがわかる作品でした