【映画】三度目の殺人
犯人は捕まった。真実は逃げ続けた。
あらすじ
勝つことを第一目標に掲げる弁護士の重盛(福山雅治)は、殺人の前科がある三隅(役所広司)の弁護を渋々引き受ける。クビになった工場の社長を手にかけ、さらに死体に火を付けた容疑で起訴され犯行も自供しており、ほぼ死刑が確定しているような裁判だった。しかし、三隅と顔を合わせるうちに重盛の考えは変化していく。三隅の犯行動機への疑念を一つ一つひもとく重盛だったが……。
予告
キャスト
福山雅治
役所広司
広瀬すず
斉藤由貴
吉田鋼太郎
満島真之介
松岡依都美
市川実日子
橋爪功
感想
気になってた作品です。最初はガリレオ系で何でもかんでも解決するんだろうなあと思っていました。しかし暴いては行けないことが世の中にはあって、隠し続けない真実がそこにはありました。
俳優陣たちの演技力が凄まじくあっという間に映画の世界に引き込まれます。
真実とはなにかとわからないまま終わる映画でした。あれほど真実をら求めていた重盛も何もすることが出来ずに終わっています。最初と何も結果はかわってないんです。むしろ無期懲役になったかもしれなかったが、死刑になったということだけ。
そして3度目の殺人の3度目の意味も考えた時色んなことが思い浮かぶんですよね。
三隅に伺える第6巻とか
彼の器とは
司法制度とは
たくさんの疑問が私たち視聴者にも残るんです。あとは各自好きに考えてともとれますし、きっと真実は映画の中にも散りばめられてるんだろうなとおもってみたり。
ミステリー映画の中ではここ最近一番のすごさだと思いました。
答えを求める人やスッキリと終わりたい人には物足りなさや不満を感じさせる作るになっています。映画自体も終盤頃まで特に盛り上がりもなくぼーっと見てしまうシーンも多いです。
でも一部の人から評価は高く、たくさんの考察がネットの海にあるのもたしかなんです。
それほど置くの深い映画なのだなあと思わされました
ストーリーネタバレ
平成29年10月11日三隅高司は勤務先を解雇された。勤めていた食品加工会社社長を撲殺後、財布を奪い、遺体に火をつけそれを三隅は見下ろしていた。
公式サイトより
三隅は殺人容疑で逮捕されました。三隅は30年前にも強盗殺人をしており、出所後に今回の事件を起こしました。死刑は免れないだろうと人々は言っていました
平成30年
勝つことだけが弁護士としての本望だと思ってる重盛朋章の元へ三隅の弁護が頼まれました。前任の弁護士の摂津はコロコロ供述が変わる三隅に弁護のしようがないと重盛へ任せました。縁とは不思議なもので30年前の三隅の事件に温情判決を出した裁判官は重盛の父親でした。
重盛と摂津は拘置所にいる三隅のもとへ面会へいきます。三隅に犯行動機を聞くと「ギャンブルの金欲しさにやった」というのでした。右手のやけどはその時に負ったというのですが、摂津が聞いていたこととどこか違うのでした。
「減刑を望んでいる」と言う割には反省の態度も見えず三隅の考えてる事はわかりませんでした。せめて死刑だけは免れようと無期懲役にしようと重盛は考え、事務所の新人である川島輝と調査を始めます。
とりあえず事件現場に向かうと1人の少女か現場にたっているのを見つけます。重盛たちに気がつくと足を引きずりながらその場を去りました。少女が立っていたのはまさに被害者が燃やされた場所でした。焼け跡は不可思議に十字架のように残っていました
公式サイトより
犯行当日の三隅の動きを知るためにタクシー会社に行き車載カメラを見ます。三隅はタクシーの窓を明け走行していました。真冬でとても寒い日だったのにも関わらず。運転手になぜ窓を開けていたのか聞くと「そう言えば、油臭かったなあ」と言われました
重盛は証拠品であった財布を見つけました。その財布には油染みができており、灯油を使った後に財布を手にしたことを意味していました。つまり【強盗殺人】ではなく殺した後に財布を取る【殺人と窃盗】になるということでした。
重盛は被害者宅に向かいました。その家には被害者の妻である美津江と娘の咲江がいました。三隅からの謝罪文を美津江に渡したものの、あまり受け入れたくないように見えました。
被害者について聞いていると評判は悪く前科者を安い賃金で働かせているなどと出てきました。重盛はそれを聞いて強盗殺人より罪の軽い解雇による私怨での殺人に弁護方針を固めました。
そんなころ重盛のもとへ電話がかかってきました。万引きをしたという娘を迎えに行きました。万引きの常習犯で泣き落としが上手いとまで皮肉を言われました。重盛は昔から妻とは別居しており、娘と会うのも久しぶりでした。
三隅が突然、週刊誌のインタビューに応じ今回の殺人は被害者の妻から持ちかけられたと言い出したのです。保険金目的で殺害し、証拠もあるといいます。50万円の入金の証拠とメールがあるといいました。重盛はそれを聞いてどうして言わなかったと怒り、共犯だったということに視点を置き換えました
公式サイトより
三隅は美津江と付き合っていたかははぐらかします。メール自体も「例の件お願いします。」とはっきりとは書いていないため、証拠としては不十分でした。重盛は判決有利になる方を選ぶといい、川島を戸惑わせます。重盛は弁護人の感情よりも結果を優先してきたため、公判前に検事から「あなたのような弁護士が犯罪者が罪と向き合うのを邪魔している」と嫌味までいわれてしまいます
美津江との交際を探るべく三隅のアパートに訪れます。しかし大家から言われたのは美津江ではなくよく遊びに来ていたのは足の悪い少女だったと言われました。美津江ではなく咲江が三隅宅を訪れていたのでした。アパートの庭には三隅が飼っていたカナリアのお墓があります。その墓には十字架があしらわれ、今回の事件を彷彿とさせるのでした。三隅は犯行前に家賃を払っており、まるで身辺整理をしているかのようでした
三隅に会いに行った重盛は身辺整理や咲江のことを聞きますが「重盛さんはわかってないなぁ」とはぐらかしてきました。家賃を払うのは楽しいからですよとはぐらかしました。
三隅は考えてることを当てるよといい、「娘さんいくつになったんですか?」と聞から、重盛は動揺してしまいました
重盛の父親が尋ねて来て重盛に、あの時温情判決なんてしたから、こんなことになったといいます。三隅は仮釈放のときに重盛の父親にハガキを送っていました。娘とのことを書いたハガキでした
三隅のことについて調べるため以前起こした事件を調べに北海道まで重盛と川島は向かいました。三隅は借金取り2人を殺害し無期懲役になっていました。そのときも三隅の言っていることはコロコロ変わり、空っぽみたいな男だったと担当刑事から知らされます。三隅の情状証人のために三隅の娘を探しますが、彼女自身も足が悪く、あの事件で街に居られなくなり、父を恨みながら街を出て行方知れずでした。
公式サイトより
三隅の元へ戻り面会に行く重盛と川島は娘を探したと言うと三隅は怒りました。娘の現状をきくと「生まれて来なければよかった人間もいるんです」と自分を責めているようでした。川島は「そんな人いません」といいますが、三隅はそのまま部屋を出ていきました
重盛は咲江に会いに行き話を聞きます。咲江と話しながら三隅にも娘がいた事をいうと咲江も知らなかったらしく驚いていました。
重盛は後半に向けて三隅と最終調整をしていました。保険金目当てで行ったこと美津江に依頼されたことをきちんと証言するように言いますが、三隅は聞いているのかわからない態度でした。
「本当はなんで殺したと思ってるの?」と笑いながらきく三隅に重盛は十字架は裁く気持ちがあったからでは?と問います。すると三隅は如何して罪のない妻や両親は既に死んだのに自分だけ生きているのだろう命は理不尽に選別されると泣きながら語りました。
ついに一回目の公判が始まりました。三隅は美津江に言われたからだと打ち合わせどうりにいいますが、みつえはこれを否定します。そうして後半は終わりました。公判後、重盛のもとへ娘の咲江が訪ねてきます。
そこで彼女が語ったことは想像を絶する内容でした。咲江は実の父親から性的暴力を奮われていました。そして仲良くなったみすみにこのことを打ち明けると、咲江が父親を殺したいほど憎んでいた事が伝わり、彼が父親を殺してしまったと。自分のためにしてくれたことだと言ったのです。そして三隅の罪が軽くなるなら証言するとも。
公式サイトより
どんどん出て来る真実に重盛は勝利よりも真実を知りたがりましたが、同僚の摂津は勝利だけをと言い真実から目を背けました。重盛は咲江のことを三隅に伝えますが、そんなことは知らないと言うのです。そうして「本当は私殺していないんです」と言いだしました
警察屋摂津に罪を認めれば死刑にならないと言われ、食品偽装をしていた会社で生きていくより、刑務所の方が自分と向き合えると思い、してもいない罪を認めたと言うのです。コロコロ供述が変わる三隅に重盛は「本当のことを教えてくれ」と懇願します。「信じるか信じないのか」といわれ信じると言ったら三隅はあの日は河川敷になど行っておらず、財布だけ撮って娘に送ったというのでした。
重盛は三隅の証言を尊重しようとしますが摂津からは「負けるぞ」といわれます。それでも尊重したいものがありました。
第2回の公判が始まりましたが、重盛は咲江を証言台には立たせませんでした。三隅は罪を否認します。場内がざわめき一旦休憩となりました。重盛は裁判長にどうしてもっと早くに言わなかったと責められます。重盛は別に犯人がいると言い、操作をやり直すべきだと言いますが、その発言は無かったことにされてしまいました。裁判員のことや裁判官の実績作りにもやり直すのは現実的ではありませんでした
3回目の公判で三隅には死刑が言い渡されました。三隅はありがとうと重盛にいうと退廷しました。それを呆然と咲江は見つめていました。咲江は帰り際重盛に「あの人の言った通りで、ここでは誰も本当のことを話さない。誰を裁くかは、誰が決めるんですか」と言い去っていきました
公式サイトより
重盛は三隅に会いに行きます。「否認したのは娘のように思っていた咲江に辛い証言をさせないためだったのですか?」と訪ねます。「それが本当ならいい話ですね。こんな殺人犯でも人の役に立てた」と微笑みます。「あなたはただの器?」「なんですか?器って」そう笑う三隅が目の前にはいた。
公式サイトより
重盛は歩きながら空をただ見つめ続けました
解説・考察
3度目の殺人の意味や三隅とはについて考察してみました
三隅高司という人物像
三隅は30年前にも殺人事件を起こしていました。その事件は借金取り2人を殺害し無期懲役でした。無期懲役は終身刑とは違い出てこれるのです。
そして当時の担当刑事はコロコロ供述が変わる、三隅自身に恨みや殺意はみられなかった、感情のない空っぽな器だと三隅のことを振り返ります。
そして今回起こった事件でも彼は30年前と同じく意見がコロコロ替わり、あまり反省の色も見られない。まるで他人事のように話す時まである
三隅の空っぽの器とは
三隅はある意味で人に影響されやすい感性の持ち主だったのかもしれません。
他人のことでもまるでその人になりきるかのようになってしまう…
30年前は恨まれていた借金取り2人を
今回は咲江が憎くて仕方なかった父親を
そして公判中には重盛自身を
彼らの気持ちになったのではないでしょうか。
重盛は川島に「人の命は選別される。本人の意思とは関係ない所で生まれ、理不尽に奪われる」といいます。
しかしそれを聞いたことも無い三隅が同じことを重盛に言いました。それは重盛自身になっている三隅だったからでしょう。娘のことも言い当てたのもそうだったのかもしれません。
空っぽの器は誰にだって成り代わることができるのかもしれません
犯人は誰だったのか
これは劇中では表現されていません。
だからこそ私の考えに考察になるのですが、三隅は殺したのだと思います。咲江の気持ちを代弁するかのように。走馬灯のように咲江が殺してるかのようなシーンがありましたが、きっとそれは咲江が殺したのではなく、咲江自身がやりたかった事だったのでは無いでしょうか
保険金殺人はどうだったのかは想像でしかありませんが、咲江の恨みは母親にも向かっていたのではないでしょうか。虐待を受けてる自分を見て見ぬふりを続けたのだから。そういう部分を三隅自身も知っていたからこそ、何かしらのバツを与えたかったのではないかなあと。
咲江と三隅
普段から親しくあった2人。父親の会社で働いていたからというのもあったかもしれませんが、三隅の娘も足が悪かったと。
だからこそ咲江と自身の娘を重ね続けたのではないでしょうか。そして咲江も優しい父親像を求めてそれを重ねていたのではないでしょうか。
空っぽの器が父親として、咲江自身として働いたのではないでしょうか。
3度目の殺人の意味
簡単に考えたら3度目の殺人は三隅の死刑です。
それだけな気はしないのです。
父親に虐待を受け続け、親しくしていた人への死刑宣告で心を殺された咲江
司法制度はこれからも人を殺していくこと
大黒柱が壊れてしまい未来の見えない母子家庭の未来
たくさんの死の意味があるんだなあと。
まとめ
3度目の殺人たくさんの意味が含められた映画だと思います。そして現代への痛烈な批判、司法制度について、殺人、死刑などたくさんのものを孕んでいます
全体的に雰囲気は暗く、じっとりと進んでいくものの、展開はどんどん進んでいきます。だからこそ見入ってしまう魅力もあります。
みなさんはこの3度目の殺人にどう行った意味を見出すのでしょうか