【映画】ユリゴコロ
一冊のノートに記された殺人者の記憶。
それは運命を狂わす、禁断の真実。
あらすじ
カフェを営む亮介(松坂桃李)の日常はある日突然崩れ去った。男手ひとつで育ててくれた父親が余命わずかと診断され、結婚を控えていた千絵(清野菜名)はこつ然と姿を消してしまったのだ。新しい家族を作ろうとしていた矢先の出来事を受けとめきれない亮介は、実家の押し入れで一冊のノートと巡り会う。「ユリゴコロ」と書かれたそのノートに書かれていたのは、美紗子と名乗る女(吉高由里子)の手記。人を殺めることでしか自分の生きる世界と繋がることができない女性の衝撃的な告白だった。
自らの失意の中、美紗子の人生の奥深くに触れていくにつれ、次第にその物語が創作だとは思えなくなる亮介。いったい誰が、何のためにこれを書いたのか。なぜ自分はこれほどまでにこの手記に惹かれるのか。そして機を待っていたかのように、千絵のかつての同僚だったという細谷(木村多江)が、千絵からの伝言を手に亮介の前に現れた……。
予告
キャスト
公式サイトより引用
美紗子 吉高由里子
亮介 松坂桃李
洋介 松山ケンイチ
亮介の父 貴山侑哉
みつ子 佐津川愛美
千絵 清野菜名
美紗子(中学生) 清原果耶
細谷 木村多江
感想
映画好きな人あるあるだと思いますけど、定期的にYouTubeで映画の予告を延々と見たりしませんか。
この映画ってYoutubeで映画の邦画の予告を漁ってるとおすすめ欄に絶対出てくるんですよね。私が見てる予告がそういうのだから出てるのか…
ずっと存在はしってたけどみて無かったのでHuluで配信されたし見てみるか!とみてみたら、おもしろい!ってなりました
ミステリー映画なのですが、殺人鬼が愛を知って愛を失うのが恐ろしくなるという王道ストーリーです。それを過去の日記という形で表現してるのでなかなかいいなあと思いました。
吉高由里子と松山ケンイチ、松阪桃李の演技力に一気に見入ってしまいます。
切なさがまた切なさを呼ぶそんな映画てした。
ネタバレストーリー
亮介は群馬県の山奥でコテージを彼女である千絵と経営していました。千絵はオープン当初から手伝ってくれており、千絵と結婚するつもりでコテージに遊びに来る父親にも紹介済で順風満帆に見えました。
母親は亮介が幼い頃川で溺れた亮介を助けるために亡くなっており、父1人子1人で頑張ってきていました。
ところがある日千絵がふと姿を消しました。アパートにもおらず、亮介は千絵を愛していたからこそ、その裏切りや悲しさに耐えきれずコテージの運営もままならなくなり、赤字すら出すようになり始めました
同じころ亮介の父が末期の膵臓癌だと発覚し、残りは自宅で過ごすとのことで、亮介は見舞いに来ます。しかし父は外出しておりおらず、久しぶりの実家を懐かしみながら歩いていると、押し入れのダンボールの中に1冊の【ユリゴコロ】と表紙に書かれたノートを見つけます。
そのノートは「私のように平気で人を殺す人間は、脳の仕組みがどこか普通とは違うのでしょうか」と言う始まりとともにぎっしりと文字が詰まっていました。非日常のような始まりで亮介は一気にノートの中に引き込まれました
ノートの中身はこのような内容が書かれていました。
美沙子は幼い頃から感情が乏しくほとんど話すことの無い子供だったため母親に連れられ病院で検査したところ「彼女にはユリゴコロがない」と医師に告げられました。
美沙子は新しい場所に行くことが怖く嫌いでした。見えない棘が自分突き刺して来るように感じるからでした。美沙子はその感覚をひっつき虫である植物のオナモミのようだと感じていました。そういうふうに感じるのもユリゴコロがないからだと美沙子は自覚していました
美沙子は自分のユリゴコロを探します。それはミルク飲み人形になりました。ユリコと名付け自分の思いをユリコに話せるようになり、表向きは普通の小学生になりました。
美沙子は小学校でミチルという友達が出来ました。美沙子はミチルの家にいった時に庭の隅に井戸があるのを見つけます。井戸には蓋がしてあるのですが蓋には穴が空いており、美沙子はその穴の中に生き物を釣れるのが楽しかったのです。ミチルの家に行くたびに穴から井戸に爬虫類などを入れていました。
ある日いつもの様に穴に入れる無視を探しているとみちるに声をかけられました。みちるを驚かそうと美沙子は帽子の中にいたカエルをミチルに見せました。みちるは想像以上に驚き、そのまま池に落ち溺死し、仰向けに浮かんできました。
その姿を見てみさこは心の中が今までに味わったことの無い感動に満ち溢れるのを感じました。その日から死が美沙子のユリゴコロになりました。
美沙子は中学生になり、ユリゴコロを探していました。ある日兄妹の妹の帽子が鉄板の隙間に入り取れなくて苦戦しているところを見つけます。たまたま通り掛かった青年と鉄板を片方ずつ持つので兄妹の兄がすき間に入って取って来ることになりました。兄が隙間に入り帽子がとれた時美沙子はわざと手を離し、兄弟の兄を圧死させます。やはりその時に美沙子は感情の揺さぶりを覚えるのでした
この頃になると美沙子はユリゴコロというのは自分の聞き間違いで、拠り所だったのだと思いますが、そんなこと大して気にしてもいませんでした
そこまで読んだところで父親が帰宅します。何事も無かったように亮介はノートを元に戻し父親の体調を気にします。亮介は父親が心配で仕事を辞めて戻ってこようかと聞きますが、父親は仕事をしろと言うだけでした
亮介はノートの続きが気になって仕方がありません。父親は塾講師をしており、父親が書いたのかとも思いましたが、溜まりに内容が生々しく嘘にも思えず誰が書いたのか気になりました
ある日コテージの亮介の元に細谷という女性が訪ねてきます。千絵のことを知っており、千絵から「事情があって会う事が出来ません。ごめんなさい」という言葉を預かっていると言うだけでした。細谷は知恵とは親子ほど歳が離れており、関係を聞くと前の職場で親しかったといいました。亮介は千絵のことを何も知らない自分に苛立つばかりでした。細谷は失踪したという私情を聞くと千絵がどこに言ったのか探すのを手伝うといい、その日は帰っていきました。
その日の夜夕飯を父親ととるために亮介は再び実家を訪れます。しかし父親は町内会長と会うと少し家を出ることになり家に残った亮介は気になっていたユリゴコロを再び読むのでした
高校を卒業した美沙子はなんとなく調理の専門学校へ通います。ある日スーパーで同級生のミツコが万引きしているのを見てしまいます。その手を掴んだ美沙子はミツコの腕にたくさんのリストカットの痕を見ます。
ミツコはリストカットをすると心が落ち着くのだといいリストカットがミツコにとってのユリゴコロなのだと美沙子は思いました。
美沙子はみつこにリストカットを見せて欲しいと言うと簡単にミツコは見せてくれたのです。どこか自分のユリゴコロが満たされるのを感じた美沙子とミツコの不思議な関係が始まりました
ミツコはいつも食べると吐いていましたが美沙子の作ったものなら平気で食べられました。美沙子はよくみつこに食事を作りにアパートへ通いました。しかしそれに伴いリストカットの跡は増えていくばかりで美沙子はリストカットを辞めさせたいと思っていました。美沙子はお互いの手首を切ることを提案します。そして2人は儀式のように手首を切りさらに絆を深めました
美沙子はいつもナンパしてくる男を鬱陶しいとおもっていました。ある日名前を聞かれとっさにミツコといいました。そして男性を石段の上から蹴り落とし殺します。そして何事も無かったように美沙子はみつことアパートへ向かい人を殺したことを告げるのでした。
ミツコは2人で遠くへ逃げようと提案しますが、学校だけは出ていたかった美沙子は卒業したら2人で外国へ行くことを約束します。そしてミツコにそれまで自傷を辞める約束をします。が、ミツコは直ぐにまた自傷をします。美沙子にはわかっていました。それか彼女のユリゴコロだったのですから辞められないことくらい。そしてそのままミツコの手首を深く切り殺してしまいます。
美沙子は卒業後レストランで働き始めますがら人間関係に嫌気がさします。とくにレストランのチーフである佐藤と言う男のことは特に苦手で1年勤めたら美沙子は仕事を辞め、身体を売って生活し始めました。するとある日声をかけてきた客が佐藤だったのです。佐藤に連れられ過去に働いていたレストランに行き、厨房で行為に及ぼうとする佐藤を殴り殺しました
そこまで読んだところで父親から電話があり、すぐ帰るようなので本を元の位置に返し、父親と食事をします。父親はどこかおかしい亮介を心配しますが亮介ははぐらかし食事を続けます。
細谷が亮介の元へ訪ねてきました。話を聞くと千絵は結婚しており、旦那はヤクザで千絵に体を売らせてお金を稼いでいるようでした。ここにいることがバレ、連れ戻されているようだと細谷は告げました。細谷は「連れ戻したいですか?」と尋ね亮介は連れ戻したいですと言うと、もう少し千絵のことを調べるとその日は帰っていきました。
亮介は父親が病院に行っている隙に家に戻りユリゴコロの続きを読み始めました
美沙子は佐藤を殺したあと「私はもう死刑になるべきなのでしょう」と書いており精神的に不安定なのがみてとれました。美沙子のお金が尽きたとき、【あなた】と出会います。あなたは洋介と言い、お金のない2人は一緒に食事に行くようになりました。毎回5000円をくれ、そして食事に行き美沙子だけが食事をする。そんな奇妙な関係の中で美沙子はヤキモキし、役に立てることを尋ねます。すると洋介は寝るまでそばにいて欲しいといいます。洋介があたらしいみさこにとってのユリゴコロになり始めていました。
ある日美沙子に洋介は「君は罪滅ぼしのために娼婦をしているのか?」と訪ねます。洋介は美佐子と居る時だけ安心できると。洋介は自分が罪人だといい、こんなに安らげるのは美沙子も罪人だからではないかと言います。
洋介は過去に子供を死なせ、そのショックで女性を観ても欲情しないといいます。小学校の先生を目指している自分が子供を殺し、償いのためにほぼ無一文。幸せを望んでは行けないといいます。そして青酸カリを持ち歩きいつでも死ねるようにしていると言います。
美沙子は気づいてしまいました。過去に殺した兄妹のときに手伝ってくれた青年こそが洋介だったと。美沙子は自分のせいでこんなことになってることにショックをうけ吐いてしまいますが、それは気持ち悪さからではなく妊娠していたからでした。
美沙子の妊娠に気がついた洋介は2人でこの子供を育てようと提案します。「そのこは君に、いや僕達に与えられたんだ。これは運命だ。君とその子のためなら生きていけるかもしれない」といい、美沙子もその言葉に結婚をきめます。誰の子かもわからない子供を2人で育てていくことにしました
洋介は中古で家を買います。その庭にはオナモミがありましたが、みさこは昔みたいな気持ちはありませんでした。美沙子はしあわせで、これが自分子求めたユリゴコロなのだろうとおもいました。
ある日から不能だった洋介もみさこの身体を求めるようになりました。その手つきはとても優しくみさこを困惑させました。「あなたの優しさには容赦がありませんでした」
子供も生まれ大きくなったころ、美沙子のもとへ田中という男がやってきました。美沙子がレストランで働いてた頃の出入り業者で美沙子が佐藤を殺したことを知っており、それを材料に美沙子を揺さぶります。美沙子は田中をラブホテルへ呼び持っていた青酸カリで殺しました。
後日美沙子の元へ警察がやって来て話を聞いてきました。青酸カリで死んだこと、現場にはオナモミが落ちていたことを言いますが美沙子は知らないと言いました。縁側でその話を聞いていた洋介はきっと美沙子が関わってることを察していました。洋介は美沙子に聞きますが何も知らないと言うだけでした。
洋介に言えなかった秘密を形に残そうと思って書いたのがユリゴコロというノートでした。美沙子は息子である亮介の為にもこの世に居ては行けなかったと最後を締めくくっていました。
そこで亮介は自分が美沙子の子供だと気が付きました。父親の洋介が帰宅したので問いただすと「お前は私の子だ。母さんだって本当にお前のことを愛していた。もっと早くノートを処分すべきだった」と言うだけでした。
帰りの車の中で細谷から連絡が入り、千絵の居場所がわかったと言われます。「千絵の旦那を殺す。自分には殺人鬼の血が流れている」と荒ぶる涼介に落ち着いて明日一緒に考えようと言われ一旦落ち着きますが、夢で千絵が美沙子に変わる夢までみて見ていてもたってもいられず、東京に車を走らせました。
千絵の居場所に着くと包丁を持って乗り込みましたが、中の人達は皆殺されていました。千絵を見つけるとその傍らには千絵の旦那が死んでいました。その痛いのそばにはオナモミがひとつ落ちていました。とっさにそれを拾い千絵とその場を離れました。千絵に事情を話すと「ミツコさんが?」といいました。その時亮介は全てを悟りました。
殺人鬼美沙子が偽名を使う時使っていた名前がミツコであったことを。細谷こそが亮介の実の母親みさこでした。
亮介は父親の元へ尋ね、美沙子が生きていたのか尋ねます。しかし父親は死んだと思っており生きていたことに驚きました。自分のために母親がまた殺人を犯したとオナモミを見せます。父親はユリゴコロの後日をかたります
入水自殺をしようとした美沙子を亮介がおってきて溺れかけたのを助けた美沙子は亮介の運ばれた病院でユリゴコロを読んで全てを知った洋介に出会います。美沙子は「あなたに殺されることだけが私の救いです」といい、2人でダムへ向かいます。
重りをつけ身を投げようとした美沙子を洋介は引き止めました。お金を渡し「別の人間として生きていけ。二度と目の前に現れるな」と言いその場を去りました。彼の残酷で優しい決定でした
そこまで話した洋介は倒れます。亮介は洋介を病院に運んだあと自宅に帰ります。自宅に帰ると細谷と名乗っていた美沙子が千絵の看病をしていました。亮介は美沙子に詰め寄ります。どうして再び現れたのだと。
美沙子は整形をしこっそり2人を見守っていたと告げます。そんな時千絵に出会い苦しみリストカットをしていた千絵にミツコを重ねてしまったと言います。そして偶然にも亮介と恋に落ちた千絵を助けたかった。殺しをさせたくなかったから全て行ったと言います。
「あなたに殺人なんてできない」と言う美沙子に亮介は「俺にだってできる殺人鬼の血が流れている俺にもユリゴコロがある!」といい美佐子の首を締めますが、殺すことは出来ませんでした。
美沙子は「血縁なんて関係ない。貴方は洋介さんの子供よ。もう二度と会うことは無い」といいます。昔と警察も違いきっと自分を見つけ出すことをいいます。立ち去ろうとする美沙子に洋介の病室の告げます。
美沙子は最後に洋介に会いに行き、自首します。亮介は最後に自分の家のオナモミを見つめていました
原作
原作は
沼田まほかるさんのユリゴコロです。結構相違があったりします。登場人物が多く削られていたり、設定もだいぶ違います。
亮介には育ててくれた母親がいますし、細谷は亮介の店のスタッフでした。ラストも最後は自首ではなく、洋介とどこかへ去っていって終わります。
なので原作はあとで見た方が楽しめるかと思います。設定が映画よりも多く見るだけで楽しめます
まとめ
長くなりましたが、以上がユリゴコロの内容でした。
愛を知った上に失うことが怖いということです。
最後に殺さずに美沙子にとってのユリゴコロを奪うというのはとても残酷なことだと思います。ある意味それがいき続けながらのバツだったのかなあと。
演技派キャストが揃い、見ていて大袈裟でしょうと思っていてもひきこまれます。こんな簡単に人なんて殺せないと思ってもきにならなくなります
悲しくてどこか切ない映画です