【映画】パンズ・ラビリンス
だから少女は幻想の国で、
永遠の幸せを探した
あらすじ
1944年のスペイン内戦で父を亡くし、独裁主義の恐ろしい大尉と再婚してしまった母と暮らすオフェリア(イバナ・バケロ)は、この恐ろしい義父から逃れたいと願う。少女は絶望の中自分を王女として迎えてくれる夢の国があると異形のものから告げられる。しかし、そのためには3つの試練があるとも。
3つの試練を乗り越えてオフェリアは王女になれるのか。
予告
監督、キャスト
監督:ギレルモ・デル・トロ
出演:イバナ・バケロ、セルジ・ロペス、マリベル・ベルドゥ、ダグ・ジョーンズ、アリアドナ・ヒル、アレックス・アングロほか
感想(ネタバレなし)
この映画のDVDパッケージキラキラなんですよね。ほんとに!
何の気なしに借りたこの映画想像以上に重たい内容です。
監督はギレルモ・デル・トロ監督です。
代表作は
ですかね!
もともとギレルモ・デル・トロ監督の世界観がすごいすきで、異形の姿とかがほんとツボなんです。
オフェリアを導くパンはほんとに素晴らしい見た目です。
スペインの内乱で父親をなくしたオフェリアの物語です。
彼女の身に起こることを現実と捉えるか少女の妄想と捉えるかは視聴者に任せられてます。
スペイン内乱のなかで父親を亡くし、母の再婚によって独裁政権の軍の大尉であるヴィダルが父親になります。厳格で厳しい義父。生まれてくる弟のため血の繋がらないオフェリアはどこか孤独を感じてる現実世界
オフェリアを女王だといい、国に戻ってきて欲しい。そのために3つの試練を乗り越えて欲しいと言われ様々な試練をこなす空想世界
そのふたつを乗り越えてオフェリアはどうなっていくのかという映画ですね。
この映画は評価が別れていますね。ハッピーエンドという人もいれば、バッドエンドだと言う人も。
ぜひまだ見てない人はみて、どう思ったのか教えて欲しいですね。
ストーリー的にはダークファンタジーと言っても過言ではないくらい、綺麗だけど闇を感じ続ける展開が進んでいきます。少女のみたものは現実だったのか、空想だったのか。
ストーリーネタバレ感想
物語は1944年の内乱の最中のスペインから始まります。
オフェリアは臨月の母と新しい父親であるヴィダル大尉の元へ向かっています。
母親からはおとぎ話ばかり読む歳でもないでしょうと言われていました。
ヴィダル大尉はゲリラ部隊の制圧を任されており、森の中の拠点へ軍と共に住んでいます。
オフェリアの父親は内乱に巻き込まれ既に亡くなっており、どこか子の再婚に納得いってない様子でした。
新しい家へ向かう道中オフェリアは目のかけた石碑を見つけ、落ちていた目をはめ込むとそこから巨大な虫が出てきます。その虫をオフェリアは妖精と思うのでした。
新しい家に着き、オフェリアは先程見た虫を見つけ追いかけますが、お手伝いである、メルセデスに見つかり、奥に進んでは行けないと忠告を受けるのでした。
オフェリアってフィフィに似てませんかね。そして名前がメルセデスってベンツ???ってなりながら見てました(笑)
その夜眠れないオフェリアの母親は医師から眠り薬を処方されます。2滴だけ飲めばぐっすりと眠れるというものでした。
一方でメルセデスはゲリラの仲間で医師とともに内通者でありました。その場面をオフェリアは目撃してしまうのでした。
オフェリアは其の夜メルセデスにとめられた森の中へ虫に案内され向かいます。そこで、迷宮の番人のパンに出会います。
パンはオフェリアの事を「モアナ王女」と呼び、地下の王国へ共に戻ろうと言います。しかし、完全に人間になっていないかの証明のため、これから与える3つの試練を満月の夜までに乗り越えて欲しいともいいます。そして一冊の本をオフェリアに手渡すのでした。
翌日オフェリアの家では朝からバタバタしています。軍の偉い人が来て食事をとるからです。そしてオフェリアも体を綺麗に洗って新しいかわいい服を着ます。その姿を見てメルセデスも可愛いと褒めてくれ、オフェリアは気を良くします。
一方で軍はゲリラとの交戦をしているのでした。
映画 パンズラビリンスより
この時点までにオフェリアいろいろありすぎ。そんな幼いのに抱えることが多すぎて見てて辛くなってきます。
オフェリアは本を開き最初の試練に挑みます。本には死にかけの大樹に潜む大きなカエルを退治するというものでした。
オフェリアは綺麗な服を汚しては行けないと、服を脱ぎ、泥まみれの木の根の中に侵入していきます。
大きなカエルに石を飲ませ、そのカエルから鍵を手に入れます。オフェリアは満足して戻りますが、泥にまみれ、新しい服すらも泥まみれにして、夕食会もすっぽかすのでした。そして母親に叱られるのでした。
其の夜ふたたび、オフェリアはパンに会いに森の迷宮に行きます。そして試練を乗りこえたことを告げるとパンは喜び、オフェリアにチョークを渡します。そして満月の夜は近いとオフェリアに告げるのでした
映画 パンズラビリンスより
オフェリアはメルセデスにゲリラを助けてるのか訊ねます。そしてオフェリアは誰にも言ってないと、メルセデスが心配だと言います。オフェリアはメルセデスには良くしてもらってるから、誰にも口外しませんでした。その代わりにメルセデスにこもりうたをうたってもらい、甘えるのでした。
母の容態が良くなく、それについていなければならなかった第2の試練をなかなか行うことが出来ないオフェリアの元へパンが現れます。そしてパンはマンゴドラをオフェリアに手渡し、新鮮なミルクにつけ血液を2滴垂らしベッドの下へ置くと母親の容態が安定すると言います。そして第2の試練を急かすのでした
第2の試練はチョークを使い、扉を作りその空間にある短剣を第1の試練で得た鍵でとびらをあけ砂時計が落ち切る前に取ってくるというものでした。
なかには子供を食べる化け物がおり、その部屋にあるたくさんの食べ物は決して口にしては行けないという決まりでした。
オフェリアは試練に挑み短剣を手に入れますがその帰り道どうしてもお腹が減ったため、ぶどうをつまみ食いしてしまうのです。
すると先ほどまで止まっていた化け物が動きだし、お供の妖精を食べてしまうのです、それに恐れたオフィリアは急いで自分の世界に戻るのでした
映画 パンズラビリンスより
この化け物がまたいい味出してます。オフェリアかま食べた瞬間、目玉を手に入れ、不思議な体制でせまってくるのですから。
しかし、オフェリアたべちゃうんですね。あんなに妖精も静止したのに。これが子供の欲なのかなんなのか…気になるところです。
翌朝、オフェリアは大尉が医師に子供の命優先で出産させろと言っているのを聞きます。眠っている母のベッドの下にマンゴドラを置きオフェリアはお腹の中にいる弟に語りかけます。
「私の弟。大事な弟。私の話を聞いて。外の世界は平和じゃないわ。でもじき生まれるのね。ママはつらそうだわ。だから産まれてくる時お願いがあるの。ひとつだけよ。ママを苦しめないで。もうすぐママに会える。とても美人よ。悲しいことが多い日々だけどママの笑顔を見ればあなたもママを愛するわ。いいこと?言う通りにしてくれたら約束するわ。私の王国に連れていき、王子にしてあげる。約束よ。あなたは王子様。」
その日のうちに、ゲリラをが本拠地に襲撃を掛け、食料を奪います。大尉は食料の入っていた倉庫の鍵が空いていたことで、不信感を覚えます。そして逃げ遅れたゲリラを見つけ、本拠地を吐かせようと拷問します。
一方オフィリアの元へパンが来て、第2の試練のことを訪ね成功したとオフェリアは言います。しかしパンに妖精が減ったことにより、つまみ食いをしたことを見抜かれてしまいます。そして女王になる資格はないと突き放し、闇夜にパンは消えていきます。
オフェリアがほんとに可哀想に思えてきます。オフェリアは母親がいなくなることで1人になり、誰も見方がいなくなることをわかっています。義父である大尉もオフェリアには用無しで自分の弟にしか興味を持たないことも知っています。だからこそ、パンの話を信じ、王国に行きたいのです。そこが分かってるだけに健気でオフェリアを抱きしめてあげたくなります。
大尉は医師を呼びつけ、拷問したゲリラを治療するように言います。治療と言っても治すのではなく、もっと長く生きさせて、吐かせるためにです。
医師はゲリラ側の人間でもあるため、ゲリラの殺してくれという懇願に応えます。大尉は一方でゲリラに内通しているのは医師だと気が付きます。
医師のとへ向かう途中、オフェリアがベッドの下に潜っているのに気付き引きずり出します。そしてマンゴドラをみつけ、絵本ばかり読んでるからだと怒ります。母親が急いで庇い、オフェリアと二人にしてもらいます。オフェリアは母親にパンから教わったおまじないだと言い、こんな所に居たくない、遠くに連れて行ってくれと泣きながら頼みますが、母親はそんなこと言わないでと言い、人生はおとぎ話では無い現実はもっと残酷なのだとオフェリアに言い、マンゴドラを燃やしてしまいます。すると、母親の容態が急変するのでした。
大尉は裏切り者の医師を撃ち殺したところへ、オフェリアの母親の急変を知らされ、急いで軍医を呼びます。無事赤ん坊は生まれますが、母親は亡くなってしまいます。悲しみにくれるオフェリアを励ましたのはメルセデスだけでした。
ここでオフェリアは1人になってしまったんですね。誰も味方もおらず、どうしていいか分からなくなってしまいます。
母親の葬儀が終わり、大尉が自分を疑い始めてると気付いたメルセデスは逃げることをオフェリアに告げます。オフェリアは一緒に連れて行って欲しいとお願いし、2人は雨の中逃げ出しますが、大尉たちに見つかってしまいます。
大尉はオフェリアが隠していたことに激昴し、詰め寄ります。私を笑っていたのかと。そしてオフェリアを部屋に入れ見張りをつけます。
大尉はメルセデスを拷問部屋に連れていき、1人で拷問しようとします。しかし、メルセデスは包丁を隠し持っており縄を切り大尉を切り付け逃げます。
メルセデス姐さん強いです。たかが女と大尉に言われてましたが、見くびったからこそ、大尉は切りつけられたんでしょうね。そして、オフェリアには手を出させないと宣言して逃げます。ほんとすごい。
メルセデスは逃げますがすぐ大尉も部下に命令し、メルセデスを追います。メルセデスは森を抜けた先で大尉の部下達に囲まれ、持ってたナイフで死のうと思いますが、そこへ、ゲリラの仲間達が駆けつけ、部下を皆殺しにし、メルセデスのことを助けます。
閉じ込められたオフェリアの元へパンが現れます。そしてオフェリアに最後のチャンスを与えます。なにも聞かず言われたとおりにしろと言います。オフェリアはそれに同意するのでした。パンは弟を連れてきて共に迷宮へ行くのだと言います。
しかし扉はしまってるとオフェリアが言うと、パンが自分だけの扉を作ればいいとチョークを手渡すのでした。
オフェリアは部屋から抜け出し、大尉の部屋にいる弟を迎えに行きます。大尉はメルセデスに着けられた傷を自分で縫合してる最中でした。そして痛みから気をそらすためにお酒を飲んでいました。そこへオフェリアは母をよくねむらせてくれていた眠り薬を大量にコップに入ったお酒へ混ぜるのでした。
大尉は口を塗ってるため少々の味の変化は傷の痛みが勝ち気が付かず、睡眠薬入りの薬を飲み干します。オフェリアはこっそり弟を抱いて逃げてるところを大尉に気が付かれます。
オフェリアほんといい子です。そしてあの歳にしてはとても機転が利くため、弟を抱いて逃げるのも難なくします。この時のオフェリアはメルセデスは殺されたと思ってるため、急いでパンのところへ行き、王国に行くことしか考えていません。
そして一目散に逃げ出します。大尉は自分の血の繋がった息子を取られまいと追いかけます。
そしてオフェリアは迷宮へ行き、大尉もそのあとを追い掛け、迷宮へ入り込んでいきます。
迷宮の奥でオフェリアはパンに出会いますが、パンは無垢なる者の血が必要だと弟を少しだけ傷つけると言います。オフェリアはそれはダメだと言い、拒絶します。パンは怒り、そんなに弟が大事かと聞きます。母親の命を奪ってまで生まれてきた弟だといいます。
オフェリアはそれでも大事だからだめだと拒絶します。
パンと言い合いになってる所へ大尉が追いつきますが大尉にはパンの姿は見えていません。そしてパンはオフェリアを見限って消えるのでした。
大尉はオフェリアから赤ん坊を奪い、オフェリアを撃ちます。その場にオフェリアは倒れ込みます。
大尉は引き返しますが、ゲリラに囲まれており、その中にメルセデスもいました。メルセデスは赤ん坊を大尉から奪います。大尉は私が死んだことを息子に伝えて欲しいと頼みますが、メルセデスは名前すら教えないといい、大尉は打たれて死にます。
メルセデスは急いで奥に行きますがそこには瀕死のオフェリアが倒れていました。オフェリアの血は石碑に流れて行っています。
メルセデスがオフェリアの元へ駆けつけますが、オフェリアは違うものが見えていました、
王国への道が開き、国王と自分の母である女王が王座に座ってオフェリアのことを待っています。パンがあらわれ、さっきまでのは試していたと言います。弟を傷つけるのではなく自分が傷つくことが出来るものが王女だと言います。そして王国の者達に歓迎され、オフェリアも王座に着き、微笑むのでした。
映画 パンズラビリンスより
しかし現実世界ではメルセデスがオフェリアのために子守唄を歌い、オフェリアは微笑みながら死んでいくのでした。そしてメルセデスの泣き声だけが響きました。
映画 パンズラビリンスより
考察
この物語がハッピーエンドかどうかは、視聴者に任せられてます。
メルセデス視点で見るとオフェリアは最後何も報われることも無く死んで行った可哀想な子
オフェリア視点で見ると試練を乗りこえ正式な王国の王女。
ほんとに見る人によって意見が別れると思います。わたしは幸せであって欲しかったと思ってるので後者の意見です。が、パンも全てきっとオフェリアの空想の世界だったとも考えています。
現実世界に居場所がなく逃げ込むために作った世界観がパンたちの世界。元から童話などを好んでみていたオフェリアだからこそ、できた世界なんだと思います。不思議の国のアリスなど何かしらモチーフがあってそこから生み出したオフェリアの空想上のキャラクターたち。
その証拠に最後大尉にはパンは見えていないし、マンゴドラはただの根っこに見えていました。
ラストの王国では女王の母親は多分赤ん坊を抱いています。それはオフェリアの弟ということになりますが、現実では弟は生きています。つまり、オフェリアが途中弟に王子様にしてあげると言っていた約束が果たされています。生きている弟があの世界観にいるのはおかしいのです。つまり遠まわしに全ては少女の妄想だったと言われているのです
オフェリアだけが逃げ込んだ世界なのです。
そう思うととても切ないですね。でも私はオフェリアはオフェリアの世界だけででも幸せになっていて欲しいです。
でもチョークで大尉と遭遇しそうになり逃げ込んだ世界など、実はちょっぴり現実だったのでは?と思わせるシーンもあるので、本当のところは監督の頭の中なのでしょう。
パンズラビリンスって結構色んなところで伏線回収もされてるので、細かいところまできちっと作られているので、いつかそういう記事も書きたいと思ってます。
パンの元ネタとか、迷宮とか、当時のゲリラとかとか。
まとめ
この作品はハッピーエンドなのかバッドエンドなのか未だに議論されています。オフェリアを救いたい、拠り所を作りたいと思う人にはハッピーエンドに終わり、現実的に見るとバッドエンドなのです。
少女が夢見た、縋った世界。夢見がちな少女の拠り所の世界。
そんな映画でした