【映画】帰ってきたヒトラー
21世紀の諸君、お待たせしました。
あらすじ
ヒトラーの姿をした男が突如街に現れたら?
「不謹慎なコスプレ男?」顔が似ていれば、「モノマネ芸人?」。
リストラされたテレビマンに発掘され、復帰の足がかりにテレビ出演させられた男は、
長い沈黙の後、とんでもない演説を繰り出し、視聴者のドギモを抜く。
自信に満ちた演説は、かつてのヒトラーを模した完成度の高い芸と認識され、
過激な毒演は、ユーモラスで真理をついていると話題になり、
大衆の心を掴み始める。しかし、皆気づいていなかった。
彼がタイムスリップしてきた〈ホンモノ〉で、70年前と全く変わっていないことを。
そして、天才扇動者である彼にとって、
現代のネット社会は願ってもない環境であることを―。
予告
感想
物語の終盤までコメディ映画で楽しんでいましたが、ラストに近づくにつれ雲行きはどんどん怪しくなります。最後は元いた時代に帰って終わりかと思いきや…
そして終わった時にあの戦争の時と同じ流れだと気がつくんですよね。あの時も政権の批判から始まりどんどん国民を先導していくんですよね。それとまさに同じことがこれから起きようとしているのでしょう。
サヴァツキの恋人の祖母が言ったように最初はみんな笑って聞いていた。本気になどしていなかった。気付いたら彼の虜だったんでしょう。
そりゃ、自分が今不満を持っているものを代わりに痛快に批判してくれたら、この人はわかってる!って安心感になりますよね。そして賞賛し、崇め始める。どんな人でも国民が選んだ。
最後にサヴァツキに言った言葉がそうなんでしょうね。演技とはいえ、国民がそういう人間を選んだのだ。それは国民がそうなることを望んでいるから。ヒトラー自身は国民たち自身なのだと。
思いつまされる映画でした。かつての日本もそうだったのだろうと。ドイツではヒトラーでしたが、日本では軍だったのだろうと。強き者に惹かれ、助けてもらおうと。すがりつくのでしょう。
昔から変わってない人間の本質を突かれたようなきがしました。面白いけど笑えないラストの映画です
ネタバレストーリー
ベルリンのある公園で一人の男が目覚めました。1945年からタイムスリップしてきたアドルフ・ヒトラー本人でした。
帰ってきたヒトラーより
自分の置かれた状況がわからず、広場に迷い込むものの、自分のいた時代と違った服を着た人たちを見て仰天します。キオスクの新聞を見ると2014年となっており驚愕するヒトラー。キオスクの店主はヒトラーのことをただのモノマネ芸人だと思い親切にしてくれ、宿を貸してくれることになりました。
ヒトラーは自分は死んだことになっており、こうしてタイムスリップしたのはなにか理由があると考えます。神が遣わした使命のためだとおもい、現代についての情報収集を始めます。戦争には負けたこと、ドイツが東西統一されたこと、自分の物語が多く描かれていることを知ります。
帰ってきたヒトラーより
一方で記者であるサヴァツキは職場を首になり悩んでいました。昼間に撮った映像を見返している最中に歴史上の人物であるアドルフ・ヒトラーに似た人を見つけ、取材しようと思い立ちます。翌日にキオスクに行くとヒトラーがおり、話してみると話し方に圧倒され魅了されてしまいます。
モノマネ芸人としての特集を急いで組み、自分の記者人生の起死回生としてヒトラーを使う気でいました。サヴァツキとヒトラーはドイツ各地をめぐり、現代を闊歩するヒトラーの図を撮影します。
ヒトラーはテレビを見ながら、プロパガンダとして最適なツールなのにどうしてくだらない番組ばかりしているのだと疑問に思っていました。そしてサヴァツキに政治番組を撮ろうと提案し、街の人達に不満を聞いて回ります。するとどんどん政治や国への不満が出てきて、ヒトラーはこれが政治不信かと嘆きます
道中で車のランプを壊してしまい、お金が無いと怒るサヴァツキにヒトラーは路上で似顔絵を描き売りさばいていきます。絵自体はうまくないものの、ヒトラーそっくりさんが書いているということで人気を博します。
2人の動画はどんどん再生され、テレビ局から出演と依頼が来るほどになりました。そのテレビ局はサヴァツキを解雇した場所でした。サヴァツキを解雇した副所長ゼンゼンブリンクは目の敵である所長であるベリーニを失脚させるために、わざと人種差別をネタにするためにヒトラーを読んだのでした
ヒトラーの出演番組は政治コメディ番組です政治について痛烈に批判する番組でした。話を振られたヒトラーは長い沈黙の後、台本を無視して演説を始めました。貧困や失業、テレビ番組の低レベルさ、などを生き生きと演説します。演説後観客は皆魅了されたかのように拍手喝采を送ります。ヒトラーはそこからヒトラーモノマネ芸人とした人気を博し、様々な番組で演説を行うようになります
帰ってきたヒトラーより
しかしサヴァツキもベリーニもヒトラーの本当の姿が見えず困惑をし始めたのもこの頃でした。いくら調べても出生がわからず聞いても、ヒトラーとしての経歴をつらつらと話すだけ。
サヴァツキとベリーニの手柄が腹立たしいゼンゼンブリンクはヒトラーがサヴァツキとの旅で噛み付いた犬を銃殺した映像を手に入れます。それをわざとオンエアしたところ、ヒトラーの人気は嘘みたいに消えてなくなりました。そしてベリーニも責任を取ってテレビ局を去らなければなりませんでした
人前から姿を消したヒトラーはサヴァツキと共に暮らし、一冊の本を書き上げていました。題名は「帰ってきたヒトラー」。その本はたちまち大ヒットし、ベストセラーに。再び人気が戻ったヒトラーでした。そしてその本をサヴァツキが監督し、映画化することになりました。
ヒトラーは印税で動物保護団体へ寄付し、Facebookでヒトラー親衛隊まで募集していました。サヴァツキは本当にヒトラーなのかと疑い始めた頃、サヴァツキの恋人の家に招待されました。その家には認知症の祖母がおり、ヒトラーの菅田を見た瞬間喚き始めました。
「この男は家族をガス室送りにしたわ!騙されないわよこの極悪人!今度は何をする気?!」
まわりはそっくりな芸人だと言っても祖母は喚いていました。サヴァツキはヒトラーが彼女がユダヤ人とは…と罪悪感も見せずむしろ、嫌悪感に満ちた表情で言う言葉に失望していました。
ある日の映画の撮影中、反ナチスの集団に襲われヒトラーは入院していました。ベリーニは「これで民主主義の英雄になれるわ」というのでした。
そのころサヴァツキはヒトラーのことについて調べていました。そしてヒトラーが現れた場所は総統地下壕跡地となっていました。彼がヒトラーだったんだと確信したサヴァツキは病院で彼は本物だったと叫びながら廊下を走りました。
映画セットの屋上にヒトラーを呼び出したサヴァツキは銃を向けます。怪物というサヴァツキに冷静にヒトラーは
「私がか?それなら怪物を選んだ国民が責められるべきだ。彼らはただ非凡な者を選んだまでだ。そして国の命運を託したんだ。なぜ国民が私について来ると思う?心の底で共感しているからだ。同じ考えを持っている。私は君らの中に存在する」
帰ってきたヒトラーより
そういうと銃で撃たれたヒトラーは屋上から落ちていきました。が振り向くとそこにはヒトラーがいました。
そこでカットの号令がかかります。これは芝居でした。がサヴァツキの役はそっくりなマスクを被った役者が演じていました。実際のサヴァツキはあの病院で騒いだ日に精神異常者だとされ、拘束服を着せられ入院していました。大量の薬により無表情で空を見つめるサヴァツキに涙を流しながら恋人は寄り添っていました
ベリーニとヒトラーは笑顔でサヴァツキのことをマスコミの前で絶賛し、2人は車に乗り込みました。2人の乗ってる車を国民は笑顔で見送るのでした。
帰ってきたヒトラーより
この映画を見る前に見てほしい作品
公式ホームページでも推奨されています作品があります
ヒトラーについて知るにはちょうど良い作品になっています。彼のしてきたことや、考えが本当に素晴らしくまとめてあります。
これを見なくても楽しめますが、さらに楽しむために、深く彼のことを知るためにはおすすめ作品です
まとめ
最初は笑ってみていたよな?君たちは大丈夫か?と言われているような映画です。ヒトラーの演説も最初は笑って聞いていたのにいつの間にか扇動されていったということに気が付かされました。
現代に蘇るなんてことは有り得ませんが、もし彼のような演説力や非凡な人が出てきた時、民衆はどうなるのでしょうね。最初は笑って気にもしないでしょうがいつの間にか…
そういうことを忠告してくれている映画だと思います。コメディだけど最後はゾクッと終わらせるそんな映画でした。